昼の部は今回はパス。夜の部は歌舞伎座では実に6年ぶりの仁左衛門の“いがみの権太”ということもあり、今月はこちらのみ観て参りました。
本公演の幕が開いて早々、その仁左衛門が右肩腱板断裂のため今月の公演を千秋楽まで務めたあと、来月以降の舞台を休演し、手術を受けるというニュースがあり、非常に驚かされました。夏には三津五郎が病に倒れ、そして今度は仁左衛門かと、暗澹たる思いになりました。しかもその満身創痍の公演の最中、肩をかばってバランスを崩したのか、舞台で転倒したという話もあり、正直休演していいから一日も早く手術を受けて欲しいとすら思いました。いくら若々しい仁左衛門といっても、年齢的なことを考えるとあとあと後遺症が残ることも心配です。
さて、その夜の部は「木の実・小金吾討死」から。
仁左衛門が登場すると万雷の拍手。権太の悪巧みさえその憎めない愛嬌からつい許してしまう、もうこれは仁左衛門でしか出せない味です。それを受ける妻・小せんの秀太郎がまた抜群にいい。なんだかんだ言いながらも、そこに流れる二人の愛情の深さがひしひしと伝わってきます。仁左衛門はやはり右腕の動きは最小限に抑えられ、怪我を知っているだけに右腕をかばう姿が痛々しく感じられます。倅をおんぶするところなどは片腕だけで抱えていましたが、大変だろうにと心配になりました。ただ、それを感じさせないというか、動きに制限がかかる分、とても情感豊かな演技を見せてくれていたと思います。
ここでの見ものは梅枝の小金吾で、仁左衛門とのやり取りでは小金吾の真っ直ぐさ、そして何ともいえない哀感が出ていて、とても良かったと思います。これが初役で仁左衛門が抜擢したといいますが、梅枝の確かな演技と端正な魅力を引き出して余りあるものがありました。梅枝の立ち回りも初めて観ましたが、そのキレといい、柔らかさといい、何より動きが丁寧なので形もキッチリときれいで、非常に美しい立ち回りでした。
「すし屋」も仁左衛門が上方らしい生き生きとしたリアリティを感じさせ、権太の軽さの裏に隠れた情の厚さに目頭が熱くなります。お米に竹三郎、お里に孝太郎、弥助に時蔵と達者な芸に加え、歌六の弥左衛門に気骨さと重みがあり、芝居に深みを出します。実に完成度の高い感動的な舞台でした。
最後は、菊五郎の「川連法眼館」。
歌舞伎座さよなら公演のときでさえ菊五郎は四の切はもうやらないと思ってましたみたいなこと言っていたので、新しい歌舞伎座でまさかまたやることになるとは思ってなかったのではないでしょうか。さすがに菊五郎の忠信は抜群に巧いのですが、ケレンとなると年齢故に俊敏性を欠き、さよなら公演の時と比べると実際その負担を減らした動きになっているようでした。その分、どうしても単調な四の切になってしまったように思います。川連法眼に彦三郎、静御前に時蔵、義経に梅玉とこちらも安定の配陣。
久しぶりに大歌舞伎を観たという満足感でいっぱいになった今月の歌舞伎座でした。
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私の歌舞伎初観劇はこれでした。夜の部です。なんてぜいたくな(笑)。
返信削除仁左衛門さんを観たくて行きましたが、まさにその転倒した日だったのです。いつかまた観られることを切に祈ります。仁左衛門さんの繊細な演技と確かな解釈は、初心者の私にも圧倒的な印象を残してくれました。それと、おっしゃる通り秀太郎さんと梅枝さんも素晴らしかったですね!歌舞伎のご感想も楽しみに拝見いたします、よろしくお願いします。
>みけさん
返信削除こちらにもコメントありがとうございます。そうですか、初観劇が義経千本桜ですか、いいですねぇ。でも、仁左衛門の転倒した日だったとは。夏には復帰されるという話も聴きますが、大事ないことを祈るばかりですね。
またどうぞよろしくお願いいたします。
ght5er375
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