先日、第二部を観て参りました。お席は歌舞伎座初の最前列。でも、通称“ドブ”という花道の下手側の席でした(笑)。されど最前列。花道の真横だったから、花道下の役者さんの走る音や、黒御簾の中の三味線や人影、舞台の床板のきしむ音、他の席だったら絶対味わえないことも体験できて、記念にもなり、良かったです。
第二部はまずは「菅原伝授手習鑑」から「寺子屋」。
3月、4月は「菅原伝授手習鑑」の演目をバラバラと分けて上演しているのですが、その最後(本当は先の話もあるけど)を飾る狂言です
菅丞相から筆法の伝授を受けた源蔵の寺子屋には菅丞相の嫡子・管秀才が匿われています。
しかし、菅秀才捜索の手が源蔵のもとに迫り、管秀才を知る松王丸により首実検が行われます。
源蔵と妻・戸浪は今日寺入りした小太郎を身代わりにし、小太郎の首を差し出し、事なきを得ますが、やがて小太郎の母・千代が我が子を迎えに来て…。
仁左衛門、玉三郎が良いだろうことは、観る前から想像できていたのですが、松王丸の幸四郎がとても良くて感動しました。幸四郎ってモゴモゴ台詞を言うし、どちらかというと苦手な役者さんだったのですが、心理描写も巧みで、子を思う思いに溢れ、思わず涙が止まらなくなってしまいました。勘三郎の戸浪はちょっと声がかれていて、少々大仰に思えるところはありましたが、仁左衛門演じる源蔵の妻として脇に控え、仁左衛門を引き立たせるところは巧いなと思いました。先月の「道明寺」といい、この「寺子屋」といい、歌舞伎座で観られて良かったと思わせる素晴らしい内容でした。
つづいて、「三人吉三巴白波」より「大川端庚申塚の場」。
去年の花形歌舞伎で「三人吉三」は観てますが、今回はその中の「大川端」一幕のみの上演です。
團十郎に吉右衛門に菊五郎。正にさよなら公演ならではの大顔合わせです。贅沢感いっぱいで、大変楽しかったです。去年の花形のお嬢吉三は菊之助で、同性愛的な匂いのする美しさが出てたけど、今回は、菊之助の父・菊五郎がお嬢吉三で、なんか地方のオカマバーのママみたいな感じで、ちょっと笑えました。
最後は、藤十郎の「藤娘」。
去年の国立劇場でやったとき、観に行くかどうしようか迷って、結局行かなかった藤娘。20分ほどの短い舞踊ですが、舞 台に大きな藤の花がずらりと垂れ、見た目も華やかで、衣装も次々変わり、とてもキレイ。踊ってるのが齢79の藤十郎であることを除けば(笑)。それでも年 齢を感じさせない踊りで、最前列でじっくり堪能させていただきました。
だんだんと歌舞伎座との別れが近づいて来ました…。今度は再来週に歌舞伎座に行って、お別れの予定です。
「御名残四月大歌舞伎」
4/3 歌舞伎座にて