2011/01/31

寿初春大歌舞伎

ちょっとアップが遅くなりましたが、先日「寿初春大歌舞伎」を観てきました。今月は昼の部。

まずは『御摂勧進帳』。
『御摂勧進帳』は自分は初めてなのですが、歌舞伎十八番の『勧進帳』より古く、同じ安宅の関を舞台にしているのですが、趣は『勧進帳』と全く異なります。義経一行かと疑われ、芝居を打って義経を先に行かせる。この辺は細かなところは違えど、まぁ筋はほぼ同じなのですが、その後、弁慶は大木に縛り付けられ、番卒にいじめられデカイ体でメソメソと泣いたりします。しかし義経らが遠くまで逃げ延びたと分ると、弁慶は本性を現し、怪力で縄を切り破り、番卒の首を次々と刎ねます。別名『芋洗い勧進帳』とも呼ばれるように、最後は大きな天水桶に切り落とした首を入れ、芋洗いのようにかき回すという、荒唐無稽で、ユーモアあふれる『勧進帳』です。弁慶役の橋之助が好演。この芝居にふさわしい大らかさが出ていて良かったと思います。

次は、『妹背山婦女庭訓』の『三笠山御殿』。
團十郎の鱶七に、福助のお三輪、芝雀の橘姫、みんな悪くはないんですが、お正月から観るには何とも重い芝居でした。お三輪を官女たちがいじめる場面では、あまりにネチネチしたしつこさに(最初から分って観ているわけですが)ほんと嫌になりました(笑)。嫌いな芝居ではないんですが、どっと疲れます。

最後は、『寿曽我対面』。
10月ぐらいだったでしょうか?三津五郎の襲名を記録したドキュメンタリー番組の再放送をNHKで放映していて、三津五郎が家の芸である曽我五郎に挑戦するところが映されていたのですが、再び三津五郎が『寿曽我対面』で曽我五郎演じるということで楽しみにしていました。三津五郎の一挙手一投足に芸の伝承というものをつくづくと感じたりしました。曽我十郎に梅玉、工藤祐経に吉右衛門、大磯の虎に芝雀と正月らしい華やかな一幕でした。