日本美術や茶道具などのコレクションで知られる畠山記念館の館蔵品から尾形光琳没後300年記念として光琳の作品を一挙公開するとのこと。
畠山記念館の琳派の展覧会は昨年の『THE 琳派』以来ですが、あのときは琳派イヤーということもあって結構なお客さんで賑わっていましたが、琳派イヤーが終わるとこんなに空いてるのかと思うくらい空いていました。まあ快適でいいんですけど。
さて、タイトルは光琳ですが、作品は宗達・光悦からあって実際には“宗達とその後継者たち”といった趣です。出品数は全33点で、茶道具や工芸品、また絵画の一部を除いて前後期で展示替えがあります。
去年の琳派展とかぶる作品もありますが、初めて観る作品もあって、光琳を軸にまとまっていました。畳の間には水墨の味わい深い宗達の「騎牛老子図」と光琳の「布袋図」があって、特に「布袋図」は愛嬌のある軽いタッチが印象的。乾山のどっしりと量感のある紅白の「立葵図」も面白かったです。葉にはたっぷりたらし込みも。
尾形光琳 「布袋図」
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/5まで)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/5まで)
2週間の限定公開だったのが光琳の「躑躅図」。これが重要文化財なのがいま一つ理解できないのですが、たらし込みで描かれた土坡や没骨法の躑躅などが見どころのようです。墨の濃淡の面白さはあるなとは思います。
尾形光琳 「躑躅図」(重要文化財)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/8まで)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/8まで)
陶磁器や茶器では乾山の作品が10点あって、ちょっとした乾山祭り。比較的小さな皿や香合などもありますが、薄模様の瀟洒な「黒楽茶碗 銘 武蔵野」や見込みにいっぱいいっぱいの大きな牡丹を描いた「色絵牡丹文四方皿」、かわいらしい白梅をあしらった小さな香合など、こうした洒落たセンスはこの人ならではだなと感じます。
尾形乾山 「結鉾香合」
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵
光琳と乾山合作の銹絵の火入れや向付、光琳デザインの蒔絵の硯箱や茶杓などもありました。蒔絵硯箱は立葵の花を錫で蕾を螺鈿で細工していて見事でした。金屏風に白の萩地文の小袖と墨絵の梅を描いた「小袖貼付屏風」も光琳ならでは。 当時はどんなに粋でオシャレだったことか。
尾形光琳 「白梅模様小袖貼付屏風(右隻)」(重要美術品)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(5/7以降は左隻を展示)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(5/7以降は左隻を展示)
今回初めて観た作品では伝・宗達の「芥子図屏風」がなかなかの傑作。金と黒(たぶん銀の変色)の市松模様の六曲一隻の屏風に紅白のケシの花が描かれていて、銀が黒化してるからシックに見えるんでしょうが、これがとってもかっこいい。ケシの花は宗達や伊年印の作品に見る形ですが、モダンに映ります。
光琳の弟子では渡辺始興の「四季花木図屏風」も素晴らしい。色鮮やかで写実の草花とたらし込みの木や岩の対比が面白いですね。ほかには光琳に私淑した酒井抱一や鈴木守一もあります。抱一や夕顔、守一は立葵で、牡丹や躑躅、芥子、藤といった花の絵が多かったのは季節に合わせたのでしょうか。
渡辺始興 「四季花木図屏風」(重要美術品)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵
作品数は決して多くありませんが、去年の琳派の盛り上がりも落ち着き、静かに作品を鑑賞したい向きにはいいと思いますよ。ここは庭も静かでいいですしね。
【尾形光琳没後300年記念 光琳とその後継者たち】
2016年6月12日(日)まで
畠山記念館にて
尾形光琳: 「琳派」の立役者 (別冊太陽 日本のこころ 232)
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