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2016/05/10

光琳とその後継者たち

畠山記念館で開催中の『光琳とその後継者たち』を観てまいりました。

日本美術や茶道具などのコレクションで知られる畠山記念館の館蔵品から尾形光琳没後300年記念として光琳の作品を一挙公開するとのこと。

畠山記念館の琳派の展覧会は昨年の『THE 琳派』以来ですが、あのときは琳派イヤーということもあって結構なお客さんで賑わっていましたが、琳派イヤーが終わるとこんなに空いてるのかと思うくらい空いていました。まあ快適でいいんですけど。

さて、タイトルは光琳ですが、作品は宗達・光悦からあって実際には“宗達とその後継者たち”といった趣です。出品数は全33点で、茶道具や工芸品、また絵画の一部を除いて前後期で展示替えがあります。

去年の琳派展とかぶる作品もありますが、初めて観る作品もあって、光琳を軸にまとまっていました。畳の間には水墨の味わい深い宗達の「騎牛老子図」と光琳の「布袋図」があって、特に「布袋図」は愛嬌のある軽いタッチが印象的。乾山のどっしりと量感のある紅白の「立葵図」も面白かったです。葉にはたっぷりたらし込みも。

尾形光琳 「布袋図」
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/5まで)

2週間の限定公開だったのが光琳の「躑躅図」。これが重要文化財なのがいま一つ理解できないのですが、たらし込みで描かれた土坡や没骨法の躑躅などが見どころのようです。墨の濃淡の面白さはあるなとは思います。

尾形光琳 「躑躅図」(重要文化財)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(展示は5/8まで)

陶磁器や茶器では乾山の作品が10点あって、ちょっとした乾山祭り。比較的小さな皿や香合などもありますが、薄模様の瀟洒な「黒楽茶碗 銘 武蔵野」や見込みにいっぱいいっぱいの大きな牡丹を描いた「色絵牡丹文四方皿」、かわいらしい白梅をあしらった小さな香合など、こうした洒落たセンスはこの人ならではだなと感じます。

尾形乾山 「結鉾香合」
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵

光琳と乾山合作の銹絵の火入れや向付、光琳デザインの蒔絵の硯箱や茶杓などもありました。蒔絵硯箱は立葵の花を錫で蕾を螺鈿で細工していて見事でした。金屏風に白の萩地文の小袖と墨絵の梅を描いた「小袖貼付屏風」も光琳ならでは。 当時はどんなに粋でオシャレだったことか。

尾形光琳 「白梅模様小袖貼付屏風(右隻)」(重要美術品)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵(5/7以降は左隻を展示)

今回初めて観た作品では伝・宗達の「芥子図屏風」がなかなかの傑作。金と黒(たぶん銀の変色)の市松模様の六曲一隻の屏風に紅白のケシの花が描かれていて、銀が黒化してるからシックに見えるんでしょうが、これがとってもかっこいい。ケシの花は宗達や伊年印の作品に見る形ですが、モダンに映ります。

光琳の弟子では渡辺始興の「四季花木図屏風」も素晴らしい。色鮮やかで写実の草花とたらし込みの木や岩の対比が面白いですね。ほかには光琳に私淑した酒井抱一や鈴木守一もあります。抱一や夕顔、守一は立葵で、牡丹や躑躅、芥子、藤といった花の絵が多かったのは季節に合わせたのでしょうか。

渡辺始興 「四季花木図屏風」(重要美術品)
江戸時代・18世紀 畠山記念館蔵

作品数は決して多くありませんが、去年の琳派の盛り上がりも落ち着き、静かに作品を鑑賞したい向きにはいいと思いますよ。ここは庭も静かでいいですしね。


【尾形光琳没後300年記念 光琳とその後継者たち】
2016年6月12日(日)まで
畠山記念館にて


尾形光琳: 「琳派」の立役者 (別冊太陽 日本のこころ 232)尾形光琳: 「琳派」の立役者 (別冊太陽 日本のこころ 232)

2015/02/14

THE 琳派

畠山記念館で開催中の『THE 琳派 -極めつきの畠山コレクション-』を観てまいりました。

久しぶりに行ったので、間違えて白金高輪駅で降りてしまったり(正解は白金台駅、もしくは高輪台駅)、道に迷って大回りしてしまったり、散々でしたが、なんとか辿り着けました。

琳派400年ということで、琳派関連の展覧会が続いていますが、こちらは畠山記念館所蔵の琳派コレクションを展観。畠山記念館の開館50周年記念展の締めくくりでもあります。

畠山記念館といえば、茶道具など古美術品のコレクションで知られていますが、琳派の作品も充実。期間中展示替えなどがありますが、わたしが観に行った日(2/11)は書画が11点、工芸品が20点、出品されていました。


階段を上がって、左側の畳敷きの展示コーナーには抱一の「風神雷神図」や宗達の「騎牛老子図」、『源氏物語』や『伊勢物語』に材を取った尾形光琳の作品が並びます。

酒井抱一 「風神雷神図」
江戸時代・18~19世紀 (展示は2/12まで)

俵屋宗達 「騎牛老子図」
江戸時代・17世紀 (展示は2/12まで)

先日拝見した日本橋三越の『岡田美術館所蔵琳派名品展』でも抱一の「風神図」が出品されていましたが、抱一は代表作の「風神雷神図屏風」だけでなく、風神・雷神を描いた作品を複数残しているようですね。この「風神雷神図」は体の動きこそ違えど、「風神雷神図屏風」の色味や風貌と近いものがあり興味深く思いました。宗達の「騎牛老子図」は牛の黒と老子の白のコントラストが面白く、宗達の水墨の技量の高さにつくづく感心します。

本阿弥光悦 「赤楽茶碗 銘 雪峯」(重要文化財)
江戸時代・17世紀

工芸では光悦の赤楽「雪峯」にやはり目が留まります。大きく火割れした痕に金粉漆で繕ったもので、口縁から胴の白釉を山の白雪に見立て光悦が命銘したそうです。光悦では、宗達の下絵の上に光悦が謡曲のさわりの部分を書写した「小謡本」や、同じく古今和歌集の雑歌をしたためた「金銀泥四季草花下絵 古今集和歌巻」も素晴らしい。

ほかに尾形乾山の皿は鉢が充実。琳派ならではの美しい草花やかわいい文様など逸品が多くて、観ていて楽しくなります。

酒井抱一 「月波草花図」
江戸時代・18~19世紀 (展示は2/22まで)

奥の壁面には抱一の「月波草花図」。「野花蟷螂図」「波上名月図」「水草蜻蛉図」の三幅対で、背景の薄墨にところどころ濃淡があり、まるで夜の霞のよう。風や波の音、虫の声だけが聴こえてきそうな風情があります。三越で観た其一の「名月に秋草図」は恐らく本作を下敷きにしてるのでしょうね。

その其一は“らしさ”が光る「向日葵図」。抱一も向日葵を描いていたりしますが、其一の向日葵は真っ直ぐに伸び、大輪の花が正面を向いているという大胆さが異彩を放っています。葉はたらし込みで描かれていますが、その斬新な画面構成はどこか近代的な感覚を感じさせます。

鈴木其一 「向日葵図」
江戸時代・19世紀 (展示は2/22まで)

本展は作品数こそ多くありませんが、有数の古美術コレクションで知られる畠山記念館だけあり、質の高い作品が並び、満足度がありました。

ところで、むかし来たときにはまだ般若苑があったところに、いろいろとウワサになった白亜の大豪邸が建っていて、畠山記念館の庭園やまわりの景観を損ねる趣味の悪さに残念な思いがしました。


【開館50周年 THE 琳派 -極めつきの畠山コレクション-】
2015年3月15日(日)まで
畠山記念館にて


鈴木其一―琳派を超えた異才 (ToBi selection)鈴木其一―琳派を超えた異才 (ToBi selection)