六本木で開催中の『村上隆の五百羅漢図展』に続いての村上隆の展覧会。とはいってもこちらは村上隆の作品ではなく、彼が蒐集したコレクションで構成されています。全然知らなかったんですが、実はアートコレクターとしても相当な方なんですね。
本展は、その村上隆のプライベート・コレクションをお目にかけましょうという企画でありつつ、村上隆の美意識の源泉や頭の中で考えていることを覗いてみましょうという意図もあるようです。
もう初日から(というより内覧会の時から)、驚きの声がTwitterのタイムラインに溢れていましたが、アートファンの度肝を抜いた理由がよく分かるユニークでカオスなコレクションでした。物量もスゴイのですが、独自の審美眼で集めた作品だけにどれも納得感のある面白さがあります。
日本・用・美
会場に入ると、いきなり蕭白。蕭白の面白さが全面に出ている屏風に、水墨の味わいがたまらない三幅の掛軸。なんか美術館にあってもいいような傑作ですよ。というか、この後に登場する全てが、個人コレクションというより美術館もうらやむようなコレクションなのですが。
[写真右] 曽我蕭白 「定家・寂蓮・西行図屏風」 江戸時代中期
[写真左] 曽我蕭白 「草山水図(左)」「寒山拾得図」「草山水図(右)」 江戸時代中期
[写真左] 曽我蕭白 「草山水図(左)」「寒山拾得図」「草山水図(右)」 江戸時代中期
となりには白隠。ちょっと先のところには仙厓なんかもあります。
[写真右から] 白隠慧鶴 「寿」「半身達磨図」「いつみても達磨」 江戸時代中期
[写真右から] 仙厓義梵 「布袋 画賛」「一橈一橈」 江戸時代中期
一休宗純 「初祖菩提磨大師達」 室町時代
一休宗純 「初祖菩提磨大師達」 室町時代
村上隆のコレクションの中で、質量において群を抜いているのが陶磁器なんだそうです。考古学的にも貴重そうな中国の陶芸品もあれば、縄文土器や須恵器もあるし、桃山時代の志野茶碗や古九谷もあれば、薩摩の黒じょかもあったりと、ちょっとした陶磁器博物館を観ている気分。
「中国漢時代 裸人物像俑」 漢時代
スリップウェアもたくさんありました。いい趣味してます。
魯山人もいっぱい。一体いくらするんだろう。。。
コレクションの中心は基本的に現代アートと陶磁器、古美術という感じなんですが、戦後の日本美術も少しだけあって、田中一村とか持ってるのね。またこれがいい絵で。うらやましい。
[写真右] 井上有一 「宮沢賢治童話『よだかの星』」 1984年(昭和59年)
[写真左] 井上有一 「魚行水濁」 1984年(昭和59年)
[写真左] 井上有一 「魚行水濁」 1984年(昭和59年)
[写真右] 田中一村 「梨花」 1948年(昭和23年)
[写真左] 山元作兵衛 「明治 仕操方」 1957年(昭和32年)以降
[写真左] 山元作兵衛 「明治 仕操方」 1957年(昭和32年)以降
第一展示室と第二展示室の間のスペースには奈良美智作品の幌馬車が。中には入れませんが、入口や窓から覗けます。なかなか凝っててかわいい。
奈良美智 「California Orange Covered Wagon」 2008年
お絵かき教室?かなと思ったら、これもれっきとした現代アート。紙やクレヨンなども用意してあって、ちゃんとデッサンができます。下の写真は開館してすぐだったので人もまばらですが、帰りがけに覗いたときは席がみんな埋まってました。子どももいれば大人もいるし、楽しそう。
デイヴィット・シュリグリー 「ヌードモデル」 2012年
村上隆の脳内世界
ガラクタ倉庫かおもちゃ箱か。マネキン?や仏像、陶器の狛犬、よく分からない置物やオブジェ、アンティーク家具、たぶん奥の木箱やシャツなんかもコレクションの一部なのかもしれません。価値がありそうなものもあれば、そうでなさそうなものもあって、正に玉石混淆。まるでインスタレーションのようで面白い。
1950-2015
村上隆のコレクションの主要な柱である50年代から現在までの国内外のアート作品がほぼ制作年の順に並べてあるのだそうです。ノスタルジーを感じるもの、リアルタイムで見てきたもの、昔から欲しかったもの、自身の創作活動に影響を与えたもの、同じアーティストとして羨んでいたもの、さまざまなものがあるんだと思います。こうした作品群が村上隆の創作意欲を掻き立たせたのかなと、いろいろと思ったりしながら観ていました。
[写真右から] アンディ・ウォーホル 「男性器と男性像(秘部)」 1952年
ピーター・ヒュージャー 「アンディ・ウォーホル(Ⅲ)」 1975年
アンディ・ウォーホル 「無題(フォーチュン)」 1953年
篠山紀信 「三島由紀夫(1968 東京)」 1968年
荒木経惟 「センチメンタルな絵」 1971年
ピーター・ヒュージャー 「アンディ・ウォーホル(Ⅲ)」 1975年
アンディ・ウォーホル 「無題(フォーチュン)」 1953年
篠山紀信 「三島由紀夫(1968 東京)」 1968年
荒木経惟 「センチメンタルな絵」 1971年
ホルスト・ヤンセンやジュリアン・シュナーベル、ウォーホルもあれば、ヘンリー・ダーガーもある。奈良美智の作品もそこかしこにある。絵画や写真だけでなく、フィギュアやオブジェっぽいのも多い。
現代過ぎると、ほとんど詳しくないので、よく分かってないで観ているんですが、たぶん現代アートファンやコレクター垂涎の作品もあるんでしょうね。
村上隆って猫が好きなんだ、写真までコレクションしてと思ったら、なんと色鉛筆で描かれていた! 吉村大星という日本人アーティストの作品でした。これすごい。
このウルトラマンかっこいいなぁと気になって、家に帰って調べたら、この村上祐二という方は村上隆の弟さんなんですね。しかも日本画家。えっこれ日本画なの? 気づかなかった。もう一度見直したい。
[写真右] 村上祐二 「ウルトラマンがやってきた」 2012年
[写真左] 村上祐二 「エメリウム光線」 2012年
[写真左] 村上祐二 「エメリウム光線」 2012年
畠山直哉 「Blast」 1995年
最後のスペースに飾られていたキム・ジョンギという人のイラストがまた緻密でビックリしました。若手アーティストの作品も積極的に購入してるんでしょうね。
[写真左] キム・ジョンギ 「寿司屋での昼食」 2015年
[写真右] キム・ジョンギ 「宴会」 2015年
[写真右] キム・ジョンギ 「宴会」 2015年
会場エントランスのグランドギャラリーには巨大なオブジェがいくつも。吹き抜けの広い空間だから置けるんですが、こんなの普段はどうやって保管してるんだろう。。。
森美術館の展覧会と同じくこちらも写真撮影OKです。太っ腹! (ただしフラッシュは禁止ですよ)
【村上隆のスーパーフラット・コレクション -蕭白、魯山人からキーファーまで-】
2016年4月6日(日)まで
横浜美術館にて

 
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