本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年の博物館・美術館初めに、毎年恒例トーハクの『博物館に初もうで』に行ってきました!
ちょっと出遅れてしまいまして、トーハクに着いたのが開館10分前。チケットを持っている人の行列は既に敷地内に移動していましたが、今年は平成館で『特別展 始皇帝と大兵馬俑』をやっているので、例年以上に大行列だったみたいです。新年早々朝から皆さん大変。
今年も本館2室(国宝室)では長谷川等伯の「松林図屏風」が公開(1/17まで)されています。ここ数年ずっとお正月は「松林図屏風」ですが、相変わらずすごい人気というか、「松林図屏風」っていつからこんなに国民的日本画になったんでしょう。
2階の本館特別1室と2室では≪博物館に初もうで 猿の楽園≫と題し、干支の「申」にちなんだ作品が展示されています。いつもは2週間ぐらいの展示だったと思うのですが、今年は今月末までと少し展示期間が長めのようです。
狩野山雪 「猿猴図」
江戸時代・17世紀 (1/31まで展示)
江戸時代・17世紀 (1/31まで展示)
今年の一押しは山雪の「猿猴図」。メインヴィジュアルにも使われ、人気急上昇の絵ですね。<トーハク猿ベスト12>の投票でもぶっちぎりの1位です。等伯の有名な「枯木猿猴図」と同じで牧谿の手長猿がベースにありますが、墨の滲みを活かした毛のニュアンスが絶妙です。それにしても濃墨でちょんちょんと描いたこの目元口元。かわいすぎて罪作りな猿です。
狩野探信 「百猿図」
江戸時代・18世紀 (1/31まで展示)
江戸時代・18世紀 (1/31まで展示)
かわいい系の猿では探信の「百猿図」も負けてません。手長猿が長い手を伸ばしチェーンのようにつながっていたり、鈴なりに群がっていたりする様がたまりませんね。これも牧谿系の猿。探信は探幽の実子です。
横山大観模写(原本=牧渓筆) 「観音猿鶴図」
明治28年(1895)、原本=中国・南宋時代末~元時代初・13世紀 (1/31まで展示)
明治28年(1895)、原本=中国・南宋時代末~元時代初・13世紀 (1/31まで展示)
狩野古信模写(原本=牧渓筆) 「群猿図」
江戸時代・享保13年(1728)、原本=中国・南宋時代末~元時代初・13世紀 (1/31まで展示)
江戸時代・享保13年(1728)、原本=中国・南宋時代末~元時代初・13世紀 (1/31まで展示)
山楽の猿も等伯の猿も探信の猿もみんな元ネタは牧谿の猿。そのもととなったとされる牧谿の猿(「観音猿鶴図」)を大観が模写した作品も展示されていました。原本は大徳寺像の国宝。鶴や観音様は普通なのに猿だけ毛がフワフワしてかわいいんですね。古信の模写絵も猿がたくさん描かれていて、これもかわいい。等伯の原本を模写した作品もあって、これももとは牧谿系の猿なんでしょう。
林春斎模写(原本=長谷川信春(等伯)筆) 「猿図」
江戸時代・弘化2年(1845)、原本=安土桃山時代・16世紀 (1/31まで展示)
江戸時代・弘化2年(1845)、原本=安土桃山時代・16世紀 (1/31まで展示)
猿といえば忘れてはならない森祖仙も。割と大きな掛軸で、よくある祖仙の猿図に比べて、猿が目立たないのですが、風景の中に猿を忍び込ませ、鹿と対比させたところがいいというか、風情を感じます。
森祖仙 「秋山遊猿図」(重要美術品)
江戸時代・19世紀 (1/31まで展示)
江戸時代・19世紀 (1/31まで展示)
常設展示でも<新春特別公開作品>や新春にちなんだ吉祥の作品が多く並んでいます。2階7室には池大雅の代表作「楼閣山水図屏風」も展示されています。まあ、これは割とお目にかかる作品ですが、珍しいところでは立林何帠の「松竹梅図屏風」があって、琳派の流れを汲む絵師だけに構図が面白くていいですね。土佐光起の「女房三十六歌仙図屏風」も非常に雅で美しいやまと絵の歌仙図で良かったです。
池大雅 「楼閣山水図屏風」(国宝)
江戸時代・18世紀 (1/24まで展示)
江戸時代・18世紀 (1/24まで展示)
立林何帠 「松竹梅図屏風」
江戸時代・18世紀 (1/24まで展示)
江戸時代・18世紀 (1/24まで展示)
江戸絵画のコーナーには岩佐又兵衛の長子・勝重の「猿猴芦雁図」。薄墨でさらりと描いたような味わいのある作品。この猿も愛嬌があってかわいい。
岩佐勝重 「猿猴芦雁図」
江戸時代・17世紀 (1/24まで展示)
江戸時代・17世紀 (1/24まで展示)
新春らしく富士山の絵なども多かったのですが、華やかなところでは狩野永納の長男・永敬の「十二ヶ月花鳥図屏風」が出ています。京狩野らしい豪奢で優美な作品。
狩野永敬 「十二ヶ月花鳥図屏風」
江戸時代・17世紀 (1/24まで展示)
江戸時代・17世紀 (1/24まで展示)
浮世絵のコーナーは展示作品全てが葛飾北斎で、ちょっとした“ミニ北斎展”。これはお年玉気分でうれしいですね。
葛飾北斎 「獅子図屏風」
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
北斎の珍しい金屏風。これもめでたい。おめでたいといえば、「冨嶽三十六景」の中でも“三役”と呼ばれる傑作3点が展示されています。
葛飾北斎 「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
葛飾北斎 「冨嶽三十六景 凱風快晴」「冨嶽三十六景 山下白雨」
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
ほかにも北斎漫画や最晩年90歳の作という「扇面散図」、また北斎の肉筆画もいくつか出ています。この「羅漢図」がまたいいですね。
葛飾北斎 「羅漢図」
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
江戸時代・19世紀 (1/17まで展示)
1階14室では、≪寿ぎと絵替わりの美-扇散らし-≫という特集展示を行っています。扇散らし文様の工芸品や屏風、扇面に絵を描いた扇などの意匠を展観するというもの。 婚礼などによく使われる末広がりのめでたい吉祥文様ですから贅を凝らした作品が多く、どれも素晴らしい。
伝・本阿弥光悦 「扇面流図屏風」
江戸時代・17世紀 (2/28まで展示)
江戸時代・17世紀 (2/28まで展示)
トーハク行ったら東洋館も忘れずに。こんなかわいい陶器枕もあるよ。(なんかすごい夢見そうw)
「白釉鉄絵虎形枕」 金~元時代・12~13世紀
「白釉獅子枕」 北宋時代・11~12世紀 (ともに展示は3/13まで)
「白釉獅子枕」 北宋時代・11~12世紀 (ともに展示は3/13まで)
今年もトーハクには一番通うことになるんでしょうね。今年もお世話になります。
【博物館に初もうで】
2016年1月2日(土) ~ 2015年1月31日(日)
開館時間、休館日、作品の展示期間など詳しくは東京国立博物館のウェブサイトでご確認ください。
今年は行けそうにないので残念でしたが、写真がたくさんあり参考になりました。ありがとうございます。
返信削除コメントいただきありがとうございます。少しでも参考になれば幸いです。時間ができて東博にうかがえるといいですね。
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