去年も、府中美術館での『歌川国芳展』を観ていますが、今年は没後150年ということで、本展は浮世絵専門の美術館である太田記念美術館の満を持しての国芳の回顧展となっています。
ちなみに、大阪(終了しました)、静岡、六本木と巡回する『歌川国芳展』(日本経済新聞社主催)とは別の展覧会なので、ご覧になられる方はご注意を。
さて、太田記念美術館での歌川国芳展(主催は太田記念美術館 ・ NHK ・NHKプロモーション)は前期・後期に分けての開催。前期は武者絵や妖怪など奇怪なものを題材にした浮世絵が中心で、後期はこれまた国芳お得意の遊び心溢れる戯画や西洋画の影響を受けた浮世絵が展示されます。前期展示はすでに終了し、現在は後期展示が行われています。
歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」(前期展示)
江戸末期に活躍した北斎や同じ歌川派の広重・国貞と比べても、非常に異色というか、特徴的かつユニークな画風が国芳の持ち味で、そこが人気の秘密。今回の展覧会は、そんな国芳の魅力を存分に堪能することができます。前期展示の豪快な武者絵や奇々怪々な作品ももちろんのこと、後期展示のユーモラスな作品は単にユニークなだけでなく、当時の文化や世相、政治的背景(役者絵の浮世絵が禁止されていた等)を知る上でも、非常に貴重な作品だと言えるでしょう。
歌川国芳「鬼若丸の鯉退治」(前期展示)
国芳の浮世絵は、まさに“破天荒”。常識が通用しないというか、常識に縛られないというか、自由で、勢いがあって、パワーがあって、そしていつまでもヤンチャらしさがあって。国芳の絵を見ていると、この人のバイタリティの凄さに圧倒され、こっちまで元気な気分になってきます。
歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書」(後期展示)
歌川国芳 「里すずめねぐらの仮宿」(後期展示)
原宿という、いかにも現代的な街には少し不似合いに思える浮世絵ですが、太田記念美術館は原宿駅のすぐそば、表参道からちょっと横に入っただけでこんな閑静な場所があるのかという小さな美術館です。かつて江戸時代も、こうした街の賑わいや、最新のファッションや流行りを浮世絵にしていたと思えば、そんなに違和感はないのかもしれません。
【没後150年記念 破天荒の浮世絵師 歌川国芳】
太田記念美術館にて
前期展示: 6/1~6/26まで
後期展示: 7/1~7/28まで
もっと知りたい歌川国芳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
歌川国芳 (新潮日本美術文庫)
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