東京国立近代美術館で開催中の『パウル・クレー おわらないアトリエ』展に行ってきました。
20世紀初頭に活躍した抽象絵画の代表的な画家であり、日本でも人気の高いクレーですが、国立近代美術館での展覧会は、意外なことに今回初めてなのだそうです。
生涯に1万点に近い作品を残したといわれるクレー。本展覧会には、スイス・ベルンのパウル・クレー・センターの所蔵作品を中心に、国内外から約180点の作品が集められています。一部、震災の影響で出展が見合わされた作品もあり、参考として写真のみ展示されていました。
「花ひらいて」
展覧会は、大きく2つの会場に分けられています。まず入ってすぐのスペースにクレーの自画像のコーナーがあり、次の細長いアプローチには≪現在/進行形 アトリエの中の作品たち≫と題し、ミュンヘン、ヴァイマール、デッサウ、ベルンと都市ごとに小間を分け、さもアトリエに絵が飾られているかのように作品を展示しています。
ミュンヘンはクレーが画家としての人生を歩み始めた重要な街、ヴァイマールとデッサウは言わずと知れたバウハウスの街、そして第二次大戦勃発後、クレーは故郷ベルンへと戻ります。それぞえrの小間にはアトリエの室内写真も飾られ、当時の雰囲気を伝えていました。
「バルトロ:復讐だ、おお!復讐だ!」
細いアプローチを抜けると、広い会場に出ます。ここではクレーの創作過程を4つのプロセスに分け、作品を展示・解説しています。会場は三角形や三角にえぐられた四角形(変形五角形)などのアイランド状の壁が配置され、4つのプロセスとプラス・アルファの作品群を並べた空間になっています。
プロセス1: 写して/塗って/写して - 油彩転写の作品
プロセス2: 切って/回して/貼って - 切断・再構成の作品
プロセス3: 切って/分けて/貼って - 切断・分離の作品
プロセス4: おもて/うら/おもて - 両面作品
過去/進行形 - “特別クラス”の作品たち
どれもクレー独特の技法で、鉛筆やインクで描いた素描を油絵の具を塗った紙の上に転写し、水彩絵の具で着彩する技法や、仕上げた作品を切断し、新たな作品を生み出したり、上下・左右を入れ替えて作品を再構成したり、作品の裏にも絵を描いて絵画の三次元的な可能性を探ったりして、クレーは絵画の可能性に挑み続けていたようです。
「E 附近の風景(バイエルンにて)」
作品リスト(会場の入り口に置いてあります)にある会場の見取り図を見ても、かなりまごつく会場構成で、みなさんあっちへ行ったりこっちへ行ったり、ここは見たっけ?次どれ見るの?のような感じで、少々混乱気味でした。ただ、転写前の絵や切断する前の絵、また、切断されたもう一方の絵なども一緒に展示されていて、クレーの創造的な制作過程を知る上ではとても面白く、興味深い企画だと思いました。
「山のカーニバル」
国立近代美術館の常設展でもクレーの作品が10点ほど展示されています。常設展も是非お忘れなく。
【パウル・クレー おわらないアトリエ】
東京国立近代美術館にて
7/31(日)まで
もっと知りたいパウル・クレー―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
クレ-の絵本 (講談社ARTピース)
クレーの食卓 (講談社ARTピース)
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