2011/06/05

レンブラント 光の探求/闇の誘惑

先日、国立西洋美術館で開催中のレンブラント展に行ってきました。

ゴールデンウィークに寄ろうとしたときは、チケット売り場にも行列ができていて、入館待ちの様子でしたが、先々週の日曜日は幸い行列もなく、混んでるときに無理して観ないで正解でした(それでも館内はそれなりに混んでましたが)。

さて、今回の展覧会は、レンブラントの銅版画(エッチング)作品を中心に、“光と影の魔術師”レンブラントの魅力に迫るというものです。

傑作「夜警」に代表されるように、レンブラントはその特徴的な光と闇の描写で名を馳せた画家であることは言うまでもありませんが、エッチング(腐蝕銅版画)でも素晴らしい才能を発揮し、数々の傑作を残しています。

「羊飼いへのお告げ」

レンブラントは生涯に約600点の油彩画を残したそうですが、それとは別に銅版画も約300点も制作していたのだとか。銅版画は版(ステート)さえできれば、数十から100枚程度まで刷ることができるので、レンブラントにとって安定的な収入源となっていたといわれています。

そのエッチングでもレンブラントの特徴は遺憾なく発揮され、油彩画に引けをとらない光と闇のレンブラントワールドを見ることができます。

「貝殻」

今回の展覧会では、ステート(版)違いや版画紙の素材の違いにも着目し、同じ絵のステート違いや紙違いを並べ比較展示してくれています。東京国立博物館で開催中の『写楽展』でも刷りの違いが比較展示されていましたが、レンブラントの場合、ステートの違いといっても、単に刷りが違うという問題だけではなく、意図的に修正を加えたところもあり、また紙の違いも、その素材(西洋紙、ヴェラム(皮紙)、和紙等)によって売り先(高級顧客か一般客か)が異なったりと、とても興味深かったです。

「三本の木」

紙の違いによる色味(色の濃さ)の違いは歴然としていて、和紙は西洋紙と比べ、かなり陰影が深いというか、濃く刷り上るようです。レンブラントは和紙を好んだそうですが、確かに色の具合はレンブラントらしい気がしました。

会場には、もちろんレンブラントの油絵も。

「書斎のミネルヴァ」

「東洋風の衣装をまとう自画像」

常設展示では同期間中、「奇想の自然-レンブラント以前の北方版画」と題し、15世紀末からおよそ“レンブラント以前”の「奇想」と「自然」が交叉した独特の画風の北方版画の企画展も開催中です。こちらもお見逃しなく!


「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 国立西洋美術館にて
6/12(日)まで

もっと知りたいレンブラント―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)もっと知りたいレンブラント―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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