といっても、根津美術館は昨年まで建て直し工事を行っていたので、こちらでの公開は実に4年ぶり。閉館前最後の公開のときにも訪れてますし、閉館中の『大琳派展』でも観てますし、数年に一度の割合で「燕子花図屏風」は観ているので、“今さら…”的なところはあるのですが、やはりこの季節に根津で観る「燕子花図屏風」は特別の趣があり、今や季節の風物詩的な催しでもあります。その上、テレビ東京の『美の巨人たち』で「燕子花図屏風」の特集を観てしまい、ここはやはり“行かざるを得ないだろうな”という気持ちで、ゴールデンウィークで混んでるとは知りながら、昨秋“新創”オープンした根津美術館に行ってまいりました。
尾形光琳「燕子花図屏風」 (国宝)
今回の展覧会は、光琳の「燕子花図屏風」を中心に、根津美術館所蔵の琳派コレクションを公開するという特別展。旧・根津美術館より、広くなり、観やすくなった会場で、琳派の優品を心ゆくまで堪能いたしました。
東京国立博物館の『大琳派展』で初めてお目にかかり、大変感動した鈴木其一の「夏秋渓流図屏風」も展示されていました。そのほか、宗達(もしくは工房“俵 屋”)の作品とされる「桜下蹴鞠図屏風」や酒井抱一の掛け軸、さらに光悦の色紙(絵は宗達)や乾山作の皿(絵は光琳)などなど名品揃い。根津美術館は、建物が新しくなったのと同時に、もちろん室内の照明も最新のものになりましたが、光が絵を邪魔することなく、同時に落ち着いた空間を作り出し、非常に見やすく鑑賞できるようになっています。先日の三菱一号館美術館の絵に跳ね返る照明とは大違い。
鈴木其一「夏秋渓流図屏風」
展示品をひと通り観たあとは、根津美術館の素晴らしい庭園へ。建物は変わっても、庭園は全く変わらず以前のまま。藤棚も昔のままですし、燕子花の咲く池もそのままです。ゴールデンウィークの頃には、藤の花が終わりかけていることがありますが、今年は4月が寒かったこともあり、藤の花はちょうど見ごろ。燕子花も紫の美しい花がきはじめ、
庭園で燕子花を観て、また「燕子花図屏風」を観る。温泉に入り、夕涼みをして、また温泉に入るみたいな、時間を忘れて、ゆったりとした気持ちで忘我の境地を味わうのが、この時季の一番の楽しみ方ではないかと思います。
【新創記念特別展 第5部 国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開】
根津美術館にて
2010年5月23日(日) まで
もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
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