2018/05/06

光琳と乾山

根津美術館で開催中の『光琳と乾山』を観てきました。

ゴールデンウィークの根津美術館といえば、尾形光琳の「燕子花図屏風」。庭園のカキツバタの開花に合わせて、「燕子花図屏風」をメインに趣向を凝らした展覧会を毎年開催しているわけですが、今回は光琳とその弟・乾山の作品や兄弟のコラボレーションを紹介した展覧会になっています。

乾山の作品は光琳の展覧会や琳派の展覧会でたびたび観ますし、3年前になりますが、サントリー美術館でも『乾山見参!』という乾山をメインの展覧会がありましたが、そういえば光琳と乾山という2人に焦点を当てた展覧会ってなかったかもしれないですね。

1階に光琳と乾山の書画、2階に乾山の焼きもの。館蔵品だけでなく他館の作品も多く、特に乾山は代表作が揃います。

会場に入ると、まずは光琳の「秋草図屏風」。宗達工房や喜多川相説の草花図を思わせる装飾的で華やかな屏風です。そしていきなり「燕子花図屏風」。いつもは第一展示室の、少し進んだ先にあるのですが、今回は入ってすぐのところに早くも登場。近くで観て離れて観て、屏風の前のベンチに座ってじっくり眺めて、何度も観てる作品ではありますが、やはり何度観ても見入ってしまいます。

尾形光琳 「太公望図屏風」(重要文化財)
江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵

尾形光琳 「白楽天図屏風」
江戸時代・18世紀 根津美術館蔵

「太公望図屏風」と「白楽天図屏風」が並んで展示されていたのもいいですね。川のほとりで釣り糸を垂らし居眠りしてるような太公望と大波に揺れる舟の上で動じず漁師と問答する白楽天。どちらも何度か拝見していますが、緑と金と波というのが共通していることに今さらながら気づきました。

「太公望図屏風」は京博所蔵、最初の「秋草図屏風」はサントリー美術館所蔵、ほかにも静嘉堂文庫美術館所蔵の「鵜舟図」やブリヂストン美術館所蔵の「李白観瀑図」など根津美術館以外からも光琳の優品が揃ってます。

尾形乾山・作、尾形光琳・画 「銹絵観鷗図角皿」(重要文化財)
江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

つづいては乾山。光琳が絵付けをした錆絵の角皿があったのですが、中には光琳の弟子・渡辺始興が絵付けをした皿などもありました。解説によると、始興は乾山焼への参加を契機に光琳風を学んだのだそうです。

乾山は陶器以外にも書画が割とあって、とりわけいかにも乾山風の“破墨”というのが面白い「破墨山水図」や、書と画で一つのセットになっている「定家詠十二ヶ月和歌花鳥図」など興味深い作品がありました。乾山は画にしても陶芸にしても、素朴な風合いだったり、ゆるさだったりがあって、光琳の洗練とはまた違う洒落たところが魅力というか、彼ならではの味わいという感じがします。

尾形乾山 「桜に春草図」「紅葉に菊流水図」
江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵


もちろん光琳の「燕子花図屏風」も。庭園のカキツバタも満開。ちょうと見頃でした。(4月30日撮影)


動画もどうぞ。これぞリアル燕子花図屏風。



【光琳と乾山 芸術家兄弟・響きあう美意識】
2018年5月13日(日)まで
根津美術館にて


もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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