2015/09/13

後水尾院と江戸初期のやまと絵

東京国立博物館の本館2階の特別2室で『特集 後水尾院と江戸初期のやまと絵』が展示されていましたので、拝見してきました。

後水尾天皇は江戸最初期の天皇で、二代将軍徳川秀忠の娘である東福門院和子を中宮として迎えたことでも知られています。

和歌や生け花(立花)など文化にも造詣が深く、古今和歌集の奥義を後水尾院から直接伝授されることは最高の名誉だったのだといいます。やまと絵の制作にも大きな影響力をもっていて、土佐光起は宮廷絵所預となり、宗家が断絶していた土佐派を再興し、新興勢力として活躍していた住吉如慶は後水尾院の意を受けて、後西天皇の勅により名を住吉と改め、住吉派を創始したのだといいます。

この特集展示では、後水尾院の果たした文化的な影響を知る作品や、江戸初期の土佐派や住吉派のやまと絵を紹介しています。

筆者不詳 「立花図屏風」
江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

「立花図屏風」は六曲一双の各扇に計36枚の花図を描いたもの。立花様式(華道成立前の古い生け花の様式)を伝える貴重な資料となっています。今回は片双のみの展示でしたが、生け花とは違う立花の面白さと、琳派の花図とは異なるやまと絵の趣きを感じます。

土佐光起 「十二ケ月歌意図巻 下巻」
江戸時代・寛文4年~8年(1664~68) 東京国立博物館蔵

「十二ケ月歌意図巻」は後水尾院の筆による「十二月花鳥和歌」を手本に、後水尾院に和歌を学んだ親王や公卿12人が藤原定家の歌を一人一首ずつ書き写し、光起がやまと絵で歌の情景を添えたもの。季節の風情を感じさせる細やかな描写が素晴らしい。

土佐光起 「業平歌意図」
江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

光起ではほかに『伊勢物語』の業平を描いた「業平歌意図」、新古今和歌集から秋の夕暮れを詠んだ3首を3幅にそれぞれ描いた「三夕図」が展示されています。

絵:住吉如慶、詞:愛宕通福 「伊勢物語絵巻 巻第一」
江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

住吉如慶はもとは土佐光起の祖父・光吉の門人。「伊勢物語絵巻」は如慶らしい優雅繊麗な筆づかいが美しい。如慶の子・具慶の「徒然草画帖」は江戸前期の公家で歌人の飛鳥井雅章の孫娘の嫁入り道具として制作されたものとか。人物描写に特徴があり、伝統的なやまと絵のものというより狩野派の描法を取り入れてるのか、とても活き活きと描き出されていて魅力的です。

住吉具慶 「徒然草画帖」
江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵


【後水尾院と江戸初期のやまと絵】
2015年9月23日(水)まで
東京国立博物館 本館 特別2室にて


やまと絵 (別冊太陽 日本のこころ)やまと絵 (別冊太陽 日本のこころ)

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