2015/09/14

春日権現験記絵模本Ⅱ -神々の姿-

東京国立博物館の本館2階の特別1室ではじまった特集展示『春日権現験記絵模本Ⅱ -神々の姿-』を拝見してきました。

昨年に特集展示された『春日権現験記絵模本I -美しき春日野の風景-』につづく第二弾企画で、模本により「春日権現験記絵」の魅力を紹介するというもの。

「春日権現験記絵」は春日大社に祀られる神々にまつわる説話を描いた絵巻で、鎌倉時代後期の宮廷絵所・高階隆兼の手によるものとされています。もともとは春日大社に秘蔵されていましたが、江戸後期に流出し、いくつかの持ち主を経て皇室に献上され、現在は三の丸尚蔵館の所蔵となっています(本展には出品されていません)。

本模本は、江戸時代後期に紀州藩藩主徳川治宝の命によって制作されたもので、浮田一蕙、冷泉為恭、岩瀬広隆といった名だたる復古やまと絵師たちにより写されたといいます。

今回の特集では、「春日権現験記絵(模本)」全20巻の内、巻第一、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十四、第十五がそれぞれ一部展示されています。

冷泉為恭他模 「春日権現験記絵(模本) 巻第一」
江戸時代・弘化2年(1845) 東京国立博物館蔵

絵巻は20巻94段から成り、全巻あわせると約180mにも及ぶという壮大なもの。朝廷の貴族や、春日大社にゆかりのある興福寺の僧にまつわる話が多いようですが、登場人物は身分の貴賎や職業、年齢、男女の別を問わず、さまざまな境遇の人々の前に春日明神が現れ、その姿を拝すというストーリーになっています。

冷泉為恭他模 「春日権現験記絵(模本) 巻第六」
江戸時代・弘化2年(1845) 東京国立博物館蔵

夜な夜な光る川のほとりに春日四宮が現れ、春日明神の霊地を教示した(巻第一)とか、春日明神の導きで閻魔王から赦免された(巻第六)とか、東国に住むことになった僧が春日社のことを思い出し涙を流していたところ春日明神が現れた(巻第八)とか、我が子を僧に育てるも大病で亡くなった母親が春日明神の情けで蘇生した(巻第九)とか、春日明神に腰の病が癒えるよう祈ったところ腰の病が癒えた(巻第十)とか、さまざまな不思議な御利益や霊験が、鮮やかな色彩の物語絵で分かりやすく綴られています。春日明神は束帯の男性や貴女、童子など、さまざまな姿で描かれていて、束帯の男性に姿を変えた神は顔が隠されていたり、夜や夢の場面が多いのも特徴的です。

冷泉為恭他模 「春日権現験記絵(模本) 巻第九」
江戸時代・弘化2年(1845) 東京国立博物館蔵

ほかにも、春日大社の神鹿を描いたいわゆる鹿曼荼羅や、円相に春日の神々の本来の姿(本地仏)を描いた本地曼荼羅が展示されています。

「春日本地仏曼荼羅」
鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵(展示は9/23まで)

「春日鹿曼荼羅」
鎌倉時代・15世紀 東京国立博物館蔵(展示は9/23まで)


【春日権現験記絵模本Ⅱ -神々の姿-】
2015年10月12日(月)まで
東京国立博物館 本館 特別2室にて

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