2016/08/27

ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち

国立新美術館で開催中の『ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち』を観てまいりました。

イタリア・ルネサンス期の中で、ローマ、フィレンツェとともに一時代を築いたヴェネツィアのルネサンス美術、いわゆるヴェネツィア派にスポットを当てた展覧会です。ヴェネツィア絵画を中心に約2000点の充実したコレクションを誇るヴェネツィアのアカデミア美術館から、ルネサンス期のヴェネツィア絵画ばかり57点が集められています。

ボッティチェリやダ・ヴィンチ、ミケランジェロといったルネサンスを代表する名だたる画家のいるフィレンツェばかりにスポットが当てられ、なかなかヴェネツィアまで目を向けられることが少なかったと思うので、その意味でも本展は好企画ですし、ヴェネツィア派の初期から終焉まで流れを追うことができるのが大変ありがたい。


第1章 ルネサンスの黎明-15世紀の画家たち

フィレンツェで開花したルネサンスはヴェネツィアにも伝播し、ベッリーニ一族とヴィヴァリーニ一族の二大流派が誕生します。ジョヴァンニ・ベッリーニはヴェネツィア派の始祖と呼ばれるヤコポ・ベッリーニの息子。父ヤコポのイコン画とは異なり、遠近法を用いた空間表現や写実性などフィレンツェのルネサンスからの影響や、自然の光の表現や質感など油絵具による革命的な変化を強く感じます。

ジョヴァンニ・ベッリーニ 「聖母子(赤い智天使の聖母)」
1485-90年 アカデミア美術館所蔵

カルパッチョの「聖母マリアのエリサベト訪問」やモローネの「聖母子」のようなルネサンス的な油彩画がある一方で、この時代はまだテンペラも混在しています。クリヴェッリの「聖セバスティアヌス」と「福者ヤコポ・デッラ・マルカ」はいくらか写実化されてますが、まだどこか中世の祭壇画の雰囲気を残します。アントニオ・デ・サリバの「受胎告知の聖母」はアントネッロ・ダ・メッシーナの同題の傑作の模写。本当はオリジナルが観たかった。

カルロ・クリヴェッリ 「聖セバスティアヌス」
1480-90年 アカデミア美術館蔵

アントニオ・デ・サリバ 「受胎告知の聖母」
1480-90年頃  アカデミア美術館蔵


第2章 黄金時代の幕開け-ティツィアーノとその周辺

ここではヴェネツィア派の第二世代ティツィアーノにスポットがあてられています。ティツィアーノは3点。「ヴィーナス」は工房作なのか、身体に比べて顔が小さすぎたり、右腕と左腕のバランスが悪かったり、あまり感心しなかったのですが、「聖母子(アルベルティーニの聖母)」は我が子にやがて訪れる過酷な運命を受け止めているかのような聖母マリアの表情が秀逸です。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「聖母子(アルベルティーニの聖母)」
1560年頃 アカデミア美術館所蔵

晩年の傑作「受胎告知」はサン・サルヴァトール聖堂の祭壇画の一つで4mを超える大作。神秘的ですらあるドラマティックな構図と創造性溢れる自由な表現、そして“色彩の錬金術”と評されたティツィアーノならではの眩惑的な色彩に圧倒されます。ティツィアーノに学んだともいわれるエル・グレコへの影響も感じます。ティツィアーノは来年東京都美術館でも展覧会があるのでそちらも期待大。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「受胎告知」
1563-65年頃 アカデミア美術館所蔵

周辺の画家では、ボルドーネの「眠るヴィーナスとキューピッド」が白眉。ティツィアーノに学ぶもその才能の高さは師ティツィアーノさえ羨んだといわれます。自然風景を大きく取り入れ、横たわるヴィーナスの詩情性と写実的表現もさることながら、いたずらっ子のようなキューピッドの描写がとにかく良い。

ボニファーチョ・ヴェロネーゼの「嬰児虐殺」も目を引きます。イエスの誕生を知ったユダヤ王ヘデロの命令でベツレヘムに生まれた2歳以下の幼児を虐殺するという新約聖書のエピソードを描いたもので、残酷な兵士たちと子どもを必死に守ろうとする母親の形相、その対比、構図が劇的で素晴らしい。

パリス・ボルドーネ 「眠るヴィーナスとキューピッド」
1540-50年頃 アカデミア美術館所蔵

この時代を語る上ではジョルジョーネが外せませんし、解説でもティツィアーノと並べて紹介されているのですが、ジョルジョーネが一つも来てないのはとても残念でした(アカデミア美術館も所蔵してるのに…)。


第3章 三人の巨匠たち-ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ

ティントレットの時代になると、色彩はより艶やかになり、明暗表現は強調され、大胆かつドラマティックな構図が多く目につきます。油彩の技法が確立されたことも大きく、下塗りされたキャンバスを使うようになったのもヴェネツィア派が最初だといいます。その中でもやはりティントレットのダイナミックな構図と表現力はズバ抜けてます。その最たるものが「聖母被昇天」で、ちょっと派手なぐらいの色遣いと情熱的ともいわれる劇的空間、マニエリスム的で独創的な表現は強烈なインパクトがあります。

ヤコボ・ティントレット 「聖母被昇天」
1550年頃 アカデミア美術館所蔵

ヴェロネーゼは、上部に勝利を祈る聖母とローマの守護聖人を描き、下部に激しい海戦の様子を描いた「レバントの海戦の寓意」がユニーク。絵画といえばイコール宗教画という時代に、こういう同時代の戦闘を描いた画があったのを初めて知りました。ヴェロネーゼの工房作の「羊飼いの礼拝」はドラマ性の高い構図の中にも神聖な空気と静かな安らぎを感じる作品。ヤコポ・バッサーノは自然風景を大きく取り入れた「悔悛する聖ヒエロニムスと天上に顕れる聖母子」とちょっとフランドルのブリューゲルを思わす「ノアの方舟への乗船」も印象的でした。

パオロ・ヴェロネーゼ 「レバントの海戦の寓意」
1572-73年頃 アカデミア美術館所蔵

パオロ・ヴェロネーゼの工房 「羊飼いの礼拝」
1592-94年 アカデミア美術館蔵


第4章 ヴェネツィアの肖像画

ヴェネツィア派の肖像画はそれまでの儀式的で型苦しいポーズではなく動きのあるカジュアルな姿勢や情感を特徴としたと解説に書かれていましたが、そこまでカジュアルな感じはしませんでしたが、確かにボッティチェリやダ・ヴィンチ、ラファエロらが描いた肖像画に比べると人間らしさを感じる気もします。ちょっと首を傾げて前を向くリチーニオの「バルツォをかぶった女性の肖像」はその表情と美しい肌が秀逸。服や帽子の黒さと明るい肌のコントラストもいい。

ベルナルディーノ・リチーニオ 「バルツォをかぶった女性の肖像」
1530-40年頃 アカデミア美術館所蔵

ティントレットは肖像画も得意だったそうで、ここでも複数の作品が展示されています。いずれも高級官僚を描いたもので、肖像画の注文も絶えなかったんでしょうね。人物が少しタテに長く、マニエリスム的なのも面白い。ティントレットの肖像画と並んで息子ドメニコの肖像画も展示されています。ドメニコといえば、つい先日トーハクで「伊東マンショの肖像」を観たばかりですが、こうして観ると、父譲りの確かな腕を持っていたことが窺われます。


第5章 ルネサンスの終焉-巨匠たちの後継者

1580年代の終わりから90年代前半にかけて、ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノというヴェネツィア派を牽引した3人の巨匠が相次いで他界。ここではドメニコ・ティントレットや、ティツィアーノやティントレットの伝統を継承したパルマ・イル・ジョーヴァネ、ティツィアーノ風の官能的な神話画を描いたパドヴァーニなど、ヴェネツィア派の最後を飾る画家たちを紹介しています。

パルマ・イル・ジョーヴァネ 「聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ」
1595年頃 アカデミア美術館所蔵

ここで一際目を引くのが3mを超す大作、パルマ・イル・ジョーヴァネの「聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ」。非常にまとまった構図で、色味のバランス、筆致の確かさ、表現の豊かさ、どれをとっても非の打ち所がありません。

16世紀も末になるとバロックがヴェネツィアにも影響を与えているのが分かります。暗い背景、強い明暗、より動きのある劇的な描写。パドヴァニーノの「オルフェウスとエウリュディケ」はヴェネツィア絵画とバロック絵画の融合と紹介されていましたが、そこには最早ティツィアーノやティントレットらの面影はなく、新しい時代の絵画の萌芽とヴェネツィア絵画の終焉を感じさせます。

パドヴァニーノ 「オルフェウスとエウリュディケ」
1620年頃 アカデミア美術館所蔵

誰もが知っている、というような画家がいるわけではないので、ある程度ルネサンス美術に傾倒した美術ファン向けになるかもしれませんが、これまでヴァネツィア派だけでここまで作品が集まった展覧会はあまりなかったと思うので、その意味でも貴重な機会です。来年はティツィアーノ展もあるので、その予習にもいいかもしれませんね。


【日伊国交樹立150周年特別展 アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち】
2016年10月10日(月・祝)まで
国立新美術館にて


ヴェネツィア――美の都の一千年 (岩波新書)ヴェネツィア――美の都の一千年 (岩波新書)

2016/08/21

小林かいち展

武蔵野市立吉祥寺美術館で『小林かいち』展を観てまいりました。

近年再発見され、評価が高まっている謎の叙情版画家・小林かいちの展覧会です。過去にはニューオータニ美術館や弥生美術館で展覧会が開かれていますが、わたしは未見でしたので、今回の展覧会をとても楽しみにしていました。

小林かいちは着物の文様の図案家を生業とする一方で、大正末期から昭和初期にかけて京都・新京極の文具店さくら井屋で販売されていた木版刷りの絵葉書や絵封筒を手がけていました。かいちの絵は若い女性たちの間で人気を集め、谷崎潤一郎の小説『卍』にもかいちの絵封筒らしいものが登場するといいます。本展では伊香保・保科美術館のコレクションの中から、さくら井屋発行の絵葉書・絵封筒を中心に約500点の作品が展示されています。


会場の構成は以下のとおりです:
1 震災からの復興 嘆きのアート
2 モダンガールを描く
3 異国のイメージ
4 乙女の世界
5 京都の美−京名所・舞妓

小林かいち 「寂しき街灯」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

小林かいちがなぜ“謎の・・・”とか“伝説の・・・”とか言われているのかというと、さくら井屋で売られていた絵葉書や絵封筒は以前から知られていて、熱心なコレクターもいる一方で、小林かいちがどんな人なのか最近まで全く分からなかったからなのです。10年ほど前に遺族の方が判明し、ようやく生没年などが明らかになったとはいえ、いまだにその詳しい経歴やどんな生活をしていたのかは不明だといいます。

小林かいち 「カーテンの影に」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

小林かいち 「夜の微笑」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

かいちの絵葉書は「現代的抒情版画絵葉書」という名で4枚1組袋入りで版本されていて、38集まで続いていたことが確認されています。赤や黒を多用した色使い、何よりその鮮烈な色彩、繊細で情緒的な表現、モダンなデザインが素晴らしい。

“乙女デコ”という言葉が会場の解説で使われていました。「乙女」と装飾(デコレーション)を意味する「デコ」を組み合わせた造語で、アールデコのような新しい芸術スタイルと乙女チックなムードを体現した絵ということなのでしょう。その作品には竹久夢二の影響が見られるものもありますが、夢二や当時の少女雑誌(会場のロビーに展示されている)のような少女趣味的で乙女乙女した感じはあまりしません。大正浪漫の同時代性に満ちているものの、どちらかというと同じく夢二の影響から生まれた“月映”にも近いセンチメンタリズムを感じます。そのデザインは世紀末芸術的だったり、アールデコ調だったり、表現主義だったり、どれも装飾性が高く、今見てもセンスは秀逸です。

小林かいち 「灰色のカーテン」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

小林かいち 「二号街の女」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

描かれている女性はどれもみな細身で、どこか哀しげ。顔を手で隠したり、後姿だったり、正面から描かれていても目鼻が描かれていないものも多くあります。かわいいとか、美しいとかいう絵とは異なり、ロマンチックだったり、儚げだったり、幻想的だったり、耽美的だったり、何かずっと心に残っているというか、後を引くものがあります。

かいちの絵を観ていると、当時の女性たちの現実と自由への渇望という両端を見る思いがします。洋風の髪型や衣服で着飾った新しい時代の女性を象徴する“モガ”が描かれていたりする一方で、十字架や教会のモチーフも多く、嘆き悲しんだり、祈るような姿の女性も目にします。たとえば「祈る女」には嘆く女、祈る女、香を焚く女、そして十字架のキリストが描かれた4枚組の絵葉書。まだまだ女性がいろんなしがらみに縛られ、自由が利かなかった時代。「祈る女」の女性たちの姿はより近い思いで感じ取られていたのかもしれません。

小林かいち 「彼女の青春」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

小林かいち 「クロスワード」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

トランプやクロスワードパズル、ユニオンジャックなど、当時はオシャレに感じたのかなというものもあったりします。ヨーロッパの街並みを描いたシリーズは洋風の女性を描いていても何か古都・京都にも通じるレトロさやノスタルジックなイメージを感じます。舞妓を描いた京都のお土産的な絵葉書のシリーズもレトロさとモダンさが同居していて、今見ても十分洒落てるし、お土産屋で売られていたら何か買っちゃいそうです。

小林かいち 「青い鳥」より
大正後期~昭和初期 伊香保保科美術館蔵

会場のスペースは比較的小さいのですが、絵葉書や絵封筒が所狭しと並べられていて、かなりボリューム感があります。しかもこれだけ観られて入館料はたったの100円。毎日19:30までやってるというのも有り難いですね。


【生誕120年記念 小林かいち展】
2016年9月25日(日)まで(8/31のみ休館)
武蔵野市立吉祥寺美術館にて


小林かいち: 乙女デコ・京都モダンのデザイナー (らんぷの本)小林かいち: 乙女デコ・京都モダンのデザイナー (らんぷの本)


小林かいちの世界 [改訂版]小林かいちの世界 [改訂版]

2016/08/20

クエイ兄弟 -ファントム・ミュージアム-

神奈川県立近代美術館葉山で開催中の『クエイ兄弟 -ファントム・ミュージアム-』を観てまいりました。

『ストリート・オブ・クロコダイル』などストップモーション・アニメーションでカルト的な人気を誇る映像の錬金術師ブラザーズ・クエイの創作世界を紹介するアジア初の回顧展です。

シネ・ヴィヴァン六本木で『ストリート・オブ・クロコダイル』がレイトショー公開され、約4ヶ月に及ぶロングランを記録してから、かれこれ27年。四谷のイメージフォーラムでの特集にも通いましたし、あれから何度観たことでしょう。わたくし事ですが、以前の仕事で少し絡みもありまして、個人的にも思い入れのあるブラザーズ・クエイの展覧会だけに、場所が少々遠いのですが、夏休みを使って伺ってきました。


Ⅰ.ノーリスタウンからロンドンへ

ブラザーズ・クエイはスティーブンとティモシーの一卵性双生児の兄弟。その独特の映像世界や幻想的・神秘的・哲学的なイメージからヨーロッパの映像作家と思われがちなのですが、出身はアメリカ。しかし、フィラデルフィア芸術大学在学中に『ポーランドポスター芸術展』を観て大いに刺激されて以来、東欧文化に感化された作品作りをするようになったといい、その後はイギリスに拠点を置き活動を行っています。

ここでは、学生時代のイラストやドローイング、エッチングをはじめ、活動初期に装幀を手掛けた書籍やレコードジャケット、演劇のリーフレット、またクエイ兄弟に決定的な影響を与えたポーランドの前衛的なポスターなどが並びます。カフカにインスピレーションを得ているのも、らしいと感じますし、興味深いのは1970年代に鉛筆で描かれた一連の“黒の素描”で、クエイ兄弟の映像作品の源泉を見る思いがします。


Ⅱ.映画

会場にはところどころにブラザーズ・クエイの映像作品がダイジェストで観られるコーナーがあります。各コーナーとも10分ぐらいでしょうか。だいたい5本ずつ、それぞれ約2~3分にまとめられた短い映像なので、やはりここは是非観てブラザーズ・クエイの世界、彼らの造り出す空気感にどっぷり浸かって会場を廻りたいところです。

実際に撮影で使用したセットやパペットを再構成し、箱に収めた舞台装置(デコール)もいくつかあって、彼らのアニメーションの世界をそのままに再現しています。平面的な写真では伝わりにくいし、立体で見て初めて感じることもあるし、イメージが膨らみます。ファンにはたまらないですね。

ブラザーズ・クエイ 『ストリート・オブ・クロコダイル』 1986年

ブラザーズ・クエイ 『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』 1984年

ブラザーズ・クエイ 『さほど不思議ではない国のアリス』 2007年


Ⅲ.ミュージック・ヴィデオ&コマーシャル

ブラザーズ・クエイは自分たちの映像作品の創作活動以外に、割と商業的な作品でも活躍しています。有名なのはアニメーションパートを担当したピーター・ガブリエルの「スレッジハンマー」のミュージック・ヴィデオでしょうが、ほかにも企業CMや商品CMなどを多く手掛けているようです。会場ではそうした映像のいくつかを観ることができて、フランスの炭酸水“BADOIT”のCMなどちょっと笑えるものもあります。ブラザーズ・クエイがBBCの依頼で制作したステーションブレイクもなかなかユニーク。でもこれは結局採用されなかったのだとか。ちなみにこの『カリグラファー』はデコールでも展示されています。

ブラザーズ・クエイ 『カリグラファー、パート1、2、3』 1991年

そのほかにもCM作品などの写真がパネル展示されていて、ニコンがブラザーズ・クエイを起用していたり、コカコーラのCMも手掛けていたりするんですね。ちょっと見てみたくなります。


Ⅳ.舞台芸術&サイトスペシフィック・プロジェクト

日本では映像作家というイメージが強くて、ブラザーズ・クエイを語るときはそこに終始してしまいがちですが、海外では演劇やオペラの舞台美術や視覚効果も多く手掛けているのだそうです。舞台美術はパネル展示なのはしょうがありませんが、どれもいかにもブラザーズ・クエイの世界。実際の舞台がどんな様子だったか想像が掻き立てられます。ブラザーズ・クエイの『ピノッキオ』なんて絶対面白いと思いますよ。


Ⅴ.インスタレーション&展覧会

最後に海外で開催されたブラザーズ・クエイの展覧会などを紹介。2012年にはニューヨークのMOMAで回顧展が開かれたほか、オランダやスペイン、イギリスなどでもこうした展覧会が開催されているようです。

今回の展覧会のために来日したブラザーズ・クエイが会期中に制作したコラージュ作品が会場展示されています。 よりによって何でこんなタイトルなんだろう(笑)

ブラザーズ・クエイ 「『粉末化した鹿の精液』の匂いを嗅いでください」 1995年/2016年

神奈川県立近代美術館葉山にて公開制作&インタビュー 2016/08/04

神奈川県立近代美術館葉山は場所柄、夏や海水浴客でバスや道路が混むだろうと予想し、平日に出かけたのですが、午前中は海水浴に行く人たちで逗子駅のバス停には長い行列ができ、バスに乗り切れなくて結局2台見送りました。このシーズンは特に土日に行かれる方は時間に余裕を持って行くのが無難かと思います。帰りも海水浴から帰る人たちと時間が重なると、かなり混雑するようです。


【クエイ兄弟 -ファントム・ミュージアム-】
2016年10月10日(月・祝)まで
神奈川県立近代美術館 葉山にて


クエイ兄弟 ファントム・ミュージアムクエイ兄弟 ファントム・ミュージアム

2016/08/14

宇宙と芸術展

六本木ヒルズの森美術館で開催中の『宇宙と芸術展』を観てきました。

SF映画で未来とされていた時代をどんどん通り過ぎ、金星のことも火星のことも木星のことも想像の世界ではなくなり、宇宙ステーションも地球の上をフツーに飛んでいる現代。宇宙はいまでも未知なる神秘に包まれている一方で、子どもの頃に思い描いていた宇宙のイメージには何か懐かしさも感じます。

本展は、“宇宙”にまつわる古今東西の歴史的史料や絵画、現代アーティストによる芸術作品から、宇宙開発に関する資料や写真に至るまで、幅広く集めた展覧会。正直出品物は多種多様で混沌としていますが、人類は古代から宇宙をずっと夢見てきたんだという、それらがすべて一本の線に繋がって見えてきて、時代時代の宇宙観もよく分かるし、とても興味を掻き立てる展覧会でした。


Section 1 人は宇宙をどう見てきたか?

まずは、いにしえの人々が思い描いた宇宙観を紹介。
曼荼羅が充実していて、最初からいきなり目が釘付けになります。曼荼羅とは仏教における仏の悟りと宇宙観を視覚化したもの。ここでは密教の理想世界を象徴的に表した「両界曼荼羅」や北斗七星など天の諸星と仏様を結びつけた「星曼荼羅」、人の一生と死後の世界を描いた「熊野観心十界曼荼羅」、またチベットの曼荼羅図やインドの立体曼荼羅など、興味深いものが並びます。

「両界曼荼羅」
鎌倉時代・14世紀 三室戸寺蔵
(※写真の作品は9/7~10/18に展示)

「星曼荼羅(北斗曼荼羅)」
南北朝時代・14世紀 大坂歴史博物館蔵
(※写真の作品は7/30~9/6に展示)

曼荼羅を立体的に表現したインドの「立体曼荼羅」も面白かったのですが、須弥山を立体化した「須弥山儀」というのもありました。真ん中に時計(?)のようなものがあって、実際には動くのでしょうか。江戸時代にからくり細工師が作ったものだとか。こちらは9/6までの展示。

ほかにも、南北朝時代の「十二天像」の掛幅や「竹取物語絵巻」、司馬江漢の描いた「天球図」、隕鉄から造った「流星刀」、さらにはキトラ古墳に描かれていた世界最古ともいわれる「天文図」(複製)もあれば、江戸時代の太陽の黒点や月面の観測図なんていうのもあったりします。古代中国の神話に登場する男女神という人首蛇体の「伏義女媧図」も驚いたし、日本を代表するシュルレアリスム画家の北脇昇が石庭の秘密に挑んだ「竜安寺石庭ベクトル構造」も面白かった。

国吉国宗 「流星刀」
1898年 東京農業大学図書館蔵

西洋のものでは、目玉はやはりレオナルド・ダ・ヴィンチとガリレオ・ガリレイの天文学に関する手稿。とくにダ・ヴィンチの「アトランティコ手稿」なんて、現物は滅多に観られないし、ダ・ヴィンチの展覧会なんかで公開されたら凄い人だかりでしょう。ここではさりげなく展示されてるし、人だかりもない(笑)


Section 2 宇宙という時空間

Section 2以降は現代アートや写真、映像などが中心ですが、この先がまた面白い。
ビョーン・ダーレムの「ブラックホール(M-領域)」は巨大なブラックホールの中にある銀河系と多元宇宙の在り方を再解釈したものとか(よく分からん…)。そばに展示されていたダーレムの「プラネタリー・ツリー」はある種の“生命の樹”を表したものらしいのですが、パッと見、春日曼荼羅の神鹿の背にある榊みたいで、なるほど通じるものがあるなと感じます。

ビョーン・ダーレム 「ブラックホール(M-領域)」 2008年

森万里子「エキピロティック ストリングⅡ」  2014年

素粒子は点ではなく“ひも”とする超弦理論からインスピレーションを得たという森万里子の作品や、アンドレアス・グルスキーの有名なスーパーカミオカンデの写真なんかも展示されています。

コンラッド・ショウクロス 「タイムピース」 2013年 

白い空間の中でぐるぐると形を変え、恐らく法則に則っるんでしょうけど不規則な動きをする巨大なオブジェ。コンラッド・ショウクロスの「タイムピース」は日時計をアート的に表現したものとか(よく分からん…)。太陽のプロミネンスを間近で体験できるインスタレーション「ブリリアント・ノイズ」も面白い。なんかSF映画の中にいるような感覚がして、こういうの好き。

ヴォルフガング・ティルマンス 「名づけられた銀河と名付けられていない銀河、ESO」
2004~2012年

ティルマンスが本展のために制作したという8枚の写真からなるインスタレーション作品。チリにある超大型望遠鏡で写し出した世界やコンピューターによる解析画面など、目に見えるものと視覚を超えた世界を表しているといいます。

ジア・アイリ 「星屑からの隠遁者」 2015年

ほかにも、中国の現代アーティスト、ジア・アイリの巨大な作品や琥珀の中を撮影したピエール・ユイグの映像から国立極地研究所の隕石コレクションまで。杉本博司の写真もある。

杉本博司 「石炭紀」 1992年


Section 3 新しい生命観-宇宙人はいるのか?

わたしは幽霊の存在は全く信じていないのですが、宇宙人は必ずいると思ってて、どこか遠い惑星にも未知の生命体があり、その星の環境に適合するように独自の進化を遂げているのだろうと信じてます。最初に展示されているのが、正にダーウィンの『種の起源』。しかも初版本。ここでは嘘か真か、いろんな宇宙人像を紹介しています。

チャールズ・ロバート・ダーウィン 「種の起源」 1859年

荒俣先生所蔵のSF雑誌コレクションも展示されています。H・G・ウェルズの『宇宙戦争』もあれば、水星人とか火星人とか土星人の想像図もあるし、異星人の教授へのインタビュー(?)なんていうのもあり。


そして、知る人ぞ知る“うつろ舟”。江戸時代の常陸国に漂着したUFO説もある謎の物体で、正直なところ、わたしはこれが観たくてここに来たわけです。“うつろ舟”には謎の文字が書かれていて、美しい女性が乗っていたといわれますが、江戸時代の人々の頭にはUFOも宇宙人もなかったでしょうから、これは一体なんだったのかと、いま考えても興味が尽きません。

[写真上左から] 万寿堂編 「小笠原越中守知行所着舟」(「漂流記集」より) 江戸時代後期・19世紀
「常陸国鹿島郡京舎ヶ濱漂流船のかわら版ずり」 江戸時代・1844年
滝沢興継 「うつろ舟の蛮女」(『弘賢随筆』より) 江戸時代・1825年

“仮面の女神”と呼ばれる縄文土偶からインスピレーションを受けたという「縄文時代の司祭」は正に宇宙人。ここのスペースだけ照明が少し暗くて、となりに並んで展示されている赤いネオンの光が怪しく光り、なんだか矢追純一のUFOスペシャルのテーマ曲でも流れてきそうな雰囲気。

ローラン・グラッソ 「縄文時代の司祭」 2015年


Section 4 宇宙旅行と人間の未来

そして現代。米ソの宇宙開発競争に始まった宇宙への人類進出の歴史を振り返りつつ、未来の宇宙開発を探ります。宇宙飛行士の記録写真やアポロ11号の月着陸の更新記録、月面の3D写真、国際宇宙ステーション内の映像、スペースシャトル“チャレンジャー号”の模型などが並びます。

空山基 「セクシーロボット」 2016年

メタリックなイラストレーションそのままにエロティックでかっこいい空山基の「セクシーロボット」。SF映画の一場面のようなフルニエの「スペース・プロジェクト」はNASAのケネディ宇宙センターや中国の中華人民革命軍事博物館などで撮影したもの。

ヴァンサン・フルニエ 「スペース・プロジェクト」 2008年

コンスタンチン・ツィオルコフスキー 「手稿」(『宇宙旅行アルバム』より) 1933年

宇宙開発の父・ツィオルコフスキーのドローイングも興味深い。科学アドバイザーを務めたソ連のSF映画『宇宙飛行』(1935)のための研究資料だそうですが、今から80年前のものだというのに、宇宙船の船外活動や無重力空間の様子など、とても予言的で的確なのに驚きます。

トム・サックス 「ザ・クローラー」 2003年

チームラボの映像インスタレーションも凄かった。カラフルな光や花、そして不思議な八咫烏が飛び、立ったまま観ているとフラフラ倒れそうになります。みんな座って映像を見つめていますが、それでもまるで宇宙を遊泳しているような浮遊感に襲われます。面白いけど、ちょっと宇宙酔いしそう(笑)

チームラボ 「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、
そして衝突して咲いていく - Light in Space」 2016年

2時間近くいたのですが、もっと観ていたいなという気分になりました。もう1回行きたいなと思ってます。約5ヶ月間というロングランの展覧会。夜遅くまでやってるのも有り難いですね。


  本展会場内の作品写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。


『宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』
2017年1月9日(月・祝)まで
森美術館にて


宇宙と芸術: かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ宇宙と芸術: かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ

2016/08/07

はじめての古美術鑑賞 絵画の技法と表現

根津美術館で開催中の『はじめての古美術鑑賞 -絵画の技法と表現-』を観てまいりました。

昔はブロックバスターな展覧会というと、だいたい西洋美術と相場が決まっていましたが、ここ数年は琳派しかり、若冲しかり、鳥獣戯画しかり、日本美術の展覧会も西洋美術に劣らず人の集まるものが多くなってきたように思います。

長時間の行列ができるような展覧会はごく一部とはいえ、それでも日本美術に興味を持つ人が広がっているのは事実。本展は、なんとなく敷居が高いと思われがちな日本美術、とくに古美術でよく登場する技法や表現を取り上げ、実際の作品を観ながら、ビギナーの人でも分かるように丁寧に解説をした展覧会です。

同じような試みとしては、三井記念美術館の『日本美術デザイン大辞展』や山種美術館の『輝ける金と銀』などが記憶に新しいところ。本展は古美術によりフォーカスしてるのと、根津美術館の充実した所蔵作品の中から、参考となるちょうど良い作品が紹介されてるので、日本美術ビギナーだけでなく、美術好きのお子さんには夏休みの自由研究にもいいんじゃないでしょうか。

《たらしこみ》
・・・滲みの効果を利用して表現する技法。墨や絵の具が乾かないうちに、水を多く含んだ墨や絵の具を加えて複雑な滲みを生じさせる。

喜多川相説 「四季草花図屏風」(右隻)
江戸時代・17世紀 根津美術館蔵

“たらしこみ”というと琳派のお家芸。ここでは“たらしこみ”を創案したとされる宗達(伝)の「老子図」をはじめ、琳派作品が並びます。立林何帠(伝)の「木蓮棕櫚芭蕉図屏風」は白い木蓮の花以外は全て“たらしこみ”を用いた逸品。わずかな彩色がまた画面を引き立てています。宗達工房を継いだ相説の「四季草花図屏風」は葉の“たらしこみ”が見事。滲みは偶然とはいえ、そこには経験や技術、意図的な狙いもあり、“たらしこみ”が生み出す表現は見れば見るほど味があります。


《潑墨》
・・・筆に墨をたっぷりと含ませ、はね散らかすような筆さばきで大胆に形状を表現する技法。

雲溪永怡 「潑墨山水図」
室町時代・16世紀 根津美術館蔵

“潑墨”といえば雪舟。雪舟の作品は展示されていませんが、雪舟の筆法を継いだ絵師(画僧)の作品が並びます。雲溪永怡は周防の画僧。右下の岩山は先日同じ根津美術館の『若き日の雪舟』で観た「山水図」を彷彿とさせます。周徳は雪舟亡きあと雪舟の雲谷庵を継承したという画僧。こちらは縦長の構図で、“潑墨”で描いた岩山の下を漂う2艘の小舟が風情を誘います。ほかにも狩野常信の「瀟湘八景図巻」があって、これがなかなかの傑作。狩野派の古画研究の成果を感じさせます。


《外暈》
・・・明るい色のものを描くときに、その外側を墨や暗色のぼかしで暈取り、形が浮き上がるように表す技法。

仲安真康 「富嶽図」
室町時代・15世紀 根津美術館蔵

これも水墨画の基本技法。狩野派も四条派も若冲も、いろんなところで使っているのを見かけます。よく見るのが富士山で、敢えて色を塗らず“外暈”を用いることで雪をいただいた富士を表現します。ほかにも観音の光背や滝などに“外暈”を使った「白衣観音図」と、“外暈”で白鷺の白さを表現した「楊柳白鷺図」を展示。あまりにくっきりと白いので、白い絵具を使ってんじゃないの?と思うけど、“外暈”を利用した目の錯覚でもあるんですね。


《付立て》
・・・輪郭線を用いずに筆の穂の側面を利用して、直に対象を描き、陰影や立体感を表す技法。

いわゆる没骨法のひとつで、円山応挙が応用したといわれる技法。応挙の手ごろな作品がなかったのか、展示は円山四条派から長沢蘆雪と松村景文。蘆雪の「竹狗児図」は細い竹を茶色の絵具を含ませた筆を使い“付立て”で描き、ところどころ濃墨で変化をつけています。


《金雲》
・・・雲や霞を金箔を貼ってかたどったもの。金砂子(金箔を細かくしたもの)や金泥(金粉を膠で溶いたもの)を用いることもある。

「洛中洛外図屏風」(※写真は左隻)
江戸時代・17世紀 根津美術館蔵

作者不明の「洛中洛外図屏風」があって、“金雲”は胡粉で文様を付けた上に金箔を貼っていて、装飾性の高い贅沢な仕上がり。名所図としても素晴らしく、寺社や祇園祭の鉾などにも名称が書き加えられていたりします。町や人々の様子も丹念に描かれていて、確かな腕のある絵師の手によるものだと分かります。恐らく狩野派によるものなんでしょうね。


《白描》
・・・墨の線のみで描いた絵。

「毘沙門天図像」(重要美術品)
 平安時代・12世紀 根津美術館蔵

白描画というと、よく見るのは仏画で、密教の図像で多く用いられたといいます。“白描”といってもすべて墨の線のみで描いたものばかりでなく、「毘沙門天図像」のように顔にわずかな彩色を施したものもあります。有名な「鳥獣人物戯画」も正しく白描画。ここではその断簡(模本)が展示されていました。


《截金》
・・・金箔や銀箔を細い線や、三角・四角・菱型などに切って、線画や彫刻に貼りつける技法。

「大威徳明王像」(重要文化財)
鎌倉時代・13~14世紀 根津美術館蔵

これも仏画や仏像ではよく見る技法。絵師ではなく截金師のような専門の職人が行ってるんでしょうが、その細かさは最早超絶技巧。「大威徳明王像」は少し傷みもあって見づらいのですが、単眼鏡で覗くと、装身具をはじめ、緩くウェーブした髪が極細の“截金”で表現されていて驚きます。


《裏箔》
・・・絵絹の裏側から金箔や銀箔を貼りつけ、絹目を通すことで金銀の強い輝きを抑える技法。

これも古くから仏画で使われた技法ですが、日本画でも実は裏箔が使われてるという作品に時々出会います。柔らかで上品な光の加減を表現するのに効果的。参考に展示されていた「藤原鎌足像」は背景の松や藤に“裏箔”を使っているとのこと。“裏箔”は表から見ただけではなかなか分かりませんが、色味だけでなく、実は絵具が落ちにくいという効果があるということを初めて知りました。


《繧繝彩色》
・・・色の濃淡の変化を、明るい色から次第に同系の暗い色へ帯状に並べることで表現する技法。

いわゆる“段ぼかし”といわれる方法。よく見るのは仏画に描かれる蓮の花のグラデーションで、参考作品はいずれも蓮台の蓮弁に“繧繝彩色”が使われていました。仏画では光背に使われているのも良く見かけますね。

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重要文化財・重要美術品クラスの作品もあって、ビギナーだけでなくバリバリの日本美術ファンが観ても楽しめる内容になっているとは思います。ただ、根津美術館が誇るといった類の第一級の作品がなかったのは残念な気もします。作品選びが真面目だなと。ビギナー向けだからこそもっとワクワクさせる作品があっても良かったかもしれません。

本展を観た足で、近くの山種美術館に行ったり、表参道から銀座線で上野まで出て東京国立博物館に行ったりするのもいいかもしれませんね。きっと充実した美術体験になると思いますよ。


【はじめての古美術鑑賞 -絵画の技法と表現-】
2016年9月4日(日)まで
根津美術館にて


図像学入門 疑問符で読む日本美術図像学入門 疑問符で読む日本美術