2015/04/26

燕子花と紅白梅

根津美術館で開催中の『燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密』を観てまいりました。

尾形光琳300年忌を記念した特別展。光琳の二大傑作である根津美術館所蔵の国宝「燕子花図屏風」とMOA美術館所蔵の国宝「紅白梅図屏風」が約半世紀ぶりに揃います。

先に熱海のMOA美術館で『燕子花と紅白梅 光琳アート -光琳と現代美術-』と題し、光琳の「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」と、光琳にインスパイアされた現代美術を展観するという特別展が開催されました。熱海という東京から離れた場所にも関わらず、毎日大変な盛況だったと聞きます。

展覧会の内容は異なれど、「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」が同じく並ぶのですから、混まないわけがありません。日曜日の15時半頃にうかがいましたが、案の定チケット売場は行列でした。先にほかの展示室を観たり、庭園を散策し、人が減った頃を見計らい、メインの<展示室1>へ。閉館30分前には人もまばらで、ゆっくり鑑賞できました。GWや会期末は覚悟しておいた方が良さそうですね。


さて、会場の構成は以下の通りです:
第一章 燕子花図と紅白梅図-「模様」の屏風の系譜
第二章 衣裳模様と光悦謡本-光琳を育んだ装飾芸術
第三章 団扇・香包・蒔絵・陶器-ジャンルを超える意匠

根津美術館での本展は純粋に光琳の作品とそのデザイン性に焦点を絞っています。光琳への影響という観点で俵屋宗達や本阿弥光悦らの作品があるものの、ほかの琳派の絵師の作品などはなく、それだけに光琳の世界に集中できます。

俵屋宗達 「蔦の細道図屏風」(重要文化財)
江戸時代・17世紀 相国寺蔵

<展示室1>でまず目に飛び込んでくるのが宗達の「蔦の細道図屏風」。東京国立博物館で開催された2008年の『対決-巨匠たちの日本美術』以来の再会です。まるで現代アートのように、余計なものを排した無機的で、ミニマルで、洗練された色と構図。宗達のデザインセンスの高さに唸ります。400年も前にこんなデザインセンスを持った人がいたなんて。抜群にカッコいい。ずーっと眺めてました。

尾形光琳 「燕子花図屏風」(国宝)
江戸時代・17世紀 根津美術館蔵

そして会場の中央に光琳の「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」。「燕子花図」は何度も観てますが、「紅白梅図」は初見(MOAでレプリカは観てますが)。まるで音符の連なりのように軽やかな構図が心地いい「燕子花図」に対し、「紅白梅図」は艶っぽいというか、なんだか妙に生々しい。男女の関係を見る向きがあるのも頷けます。渦巻く波文もただの文様というよりも、ちょっと情念的にすら見えます。

尾形光琳 「紅白梅図屏風」(国宝)
江戸時代・17世紀 MOA美術館蔵

ほかにも光琳の「槇楓図屏風」とその元となった宗達工房の「槇楓図屏風」、光琳の画稿・下絵など貴重な資料である「小西家文書」など。展示は2階にもあって、<燕子花図屏風の茶>という特集展示は、「燕子花図屏風」を購入した実業家の初代根津嘉一郎がお披露目のために開いた茶会で使用された茶道具や掛軸などが展示されていて、数寄者として名高い氏の趣味が垣間見れてなかなか興味深かったです。


【尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密】
2015年5月17日(日) まで
根津美術館にて

もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)


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