2014/07/25
七月大歌舞伎「夏祭浪花鑑」
今月は昼の部のみ鑑賞。夜の『天守物語』は前にも観てるしなぁとモタモタしてたら売り切れてしまいました。
昼は『夏祭浪花鑑』。玉三郎が25年ぶりにお辰を演じるというので、これだけは観たいと思い早々に席を確保しました。
今回は、東京では久しぶりという「お鯛茶屋」から芝居が始まります。演出的に若干カットされているようですが、やはり前段としてお梶(吉弥)を中心とした人間関係が分かりやすくなり、後半の登場人物同士の繋がりが生きてきます。
海老蔵の『夏祭浪花鑑』は2009年のさよなら公演のときに観ていますが、どうも以前の方が勢いがあった気がします。血気盛んな若い侠客の物語というか、 無頼な雰囲気というのが前回ほどあまり感じられませんでした。公演を重ねた分、何か芝居が平凡になってしまった感じ。姿・形は男伊達だし、頑張ってるのは分かるんですけどね。
中車が義平次を演じるというのも話題。平成中村座では笹野高史さんもやってますから、そういう前例があっての抜擢なのでしょうか。その中車は怪演といっていい力の入れ具合で、演技派俳優の腕の見せどころといったところなのでしょうが、芝居がクサイというか、少々やり過ぎな感じが。義平次というよりまるで『あしたのジョー』の丹下で、長町裏が凄惨ではなく滑稽な場になってしまいました。残念。
玉三郎のお辰は私がちょっと期待しすぎてしまったかもしれません。想像していたお辰と違いました。とはいっても以前に観ているのが勘三郎と勘九郎のお辰なので、その印象の違いもあるかもしれません。リアルな巧さ、世話物としての味わいはあるし、考え抜かれた玉三郎の世界ではあるのでしょうが、少しあっさりとした感じに映りました。
さすがに良かったのがお梶の吉弥と三婦の左團次。一寸徳兵衛の猿弥も良かった。琴浦の右近(尾上)は芸者の色気がないというか、ただきれいなだけという感じ。
全体的に義太夫味の薄い夏祭でした。いつか上方勢だけのちゃんとした『夏祭浪花鑑』が観たい。浪花らしく人情味豊かで、こってりと、ギラギラしたやつを。
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