2013/12/30

2013年 展覧会ベスト10

早いもので今年もあと2日。というか、最後の一日となりました。
今年もこの一年を振り返り、展覧会ベスト10を出してみました。


1位 『狩野山楽・山雪展』(京都国立博物館)


今年はダントツで『狩野山楽・山雪展』。ここ数年で観た展覧会、特に日本画の美術展の中では最も刺激的な展覧会でした。地方の展覧会には滅多に行かないのですが、今回だけはどうしても行きたくて、うまいこと関西出張のついで(展覧会のついでに仕事?)に観て参りました。一つ観てはアッパーカット、一つ観てはカウンターパンチというように、頭がクラクラするほどどの作品も素晴らしく、そして衝撃的でした。絵を観ている僅か数時間がこんなにも濃密に感じられる体験はそうそうあるものではありません。これだけの作品を集め、展覧会を企画してくれた京博に感謝!


2位 『フランシス・ベーコン展』(東京国立近代美術館)


アートにハマりはじめた高校生の頃、一番好きだったアーティストの一人がフランシス・ベーコン。念願の夢が叶ったような展覧会でした。ベーコンの絵の持つ魔力に圧倒されっぱなしで、都合3回観に行きました。珍しくイベントや講演会にも足を運びました。もうこんな贅沢な展覧会は二度とできないのかなぁ~。


3位 和様の書(東京国立博物館)


最初はほとんど興味がなく、スルーするつもりでいたのですが、評判の良さに足を運んだところ、“和様の書”の魅力にあっという間に引きこまれてしまいました。普段は“書”が展示されていても、読めないし何が書いてあるか分からないので、流して観るのがせいぜいだったのですが、こんなにも日本の文字が美しかったのか、料紙ってなんでこんなに綺麗なんだろうと見とれっぱなし。“書”の魅力、芸術的な価値を教えてくれた展覧会でした。あ~あんな字をスラスラ読めるようになりたい。


4位 上海博物館 中国絵画の至宝(東京国立博物館)

中国絵画のことは正直よく分からないのですが、室町から江戸にかけての水墨画や花鳥画などを観ていると、やはり中国絵画のことを知らなくてはとずーっと思っていて、そうした意味でもとても勉強になった展覧会でした。展示作品はいずれ劣らぬ貴重な作品ばかりで、どれも素晴らしく、なによりトーハクの一般入館料だけでこれだけの作品を鑑賞できたことが拍手ものでした。


5位 清雅なる情景 日本中世の水墨画(根津美術館)

これも同じ意味で、江戸時代の水墨画を観るためにも、日本に水墨画が輸入された頃の作品を観たいと常々思っていて、個人的にはとてもタイムリーな、満足度の高い展覧会でした。日本での水墨画の流れが体系的に展示されていて、とても分かりやすく、勉強になりました。


6位 夏目漱石の美術世界展(東京藝術大学美術館)


夏目漱石の小説は若い頃に読んだきりなので、展覧会でその文学と美術の関係に深く入り込めなかったことが悔やまれたのですが、文学世界の中から美術品を取り出して、リアルなものとして観せてくれたその企画力がとても面白かったです。


7位 竹内栖鳳展(東京国立近代美術館)


竹内栖鳳の作品はよく観ているし、前年も山種美術館で竹内栖鳳展を観てるので、正直新鮮さはなかったのですが、やはり栖鳳の全時代を網羅した物量と東近美の箱の大きさでしょうか。ビロード友禅といった貴重な作品も観られ、見応えのある展覧会でした。“獅子の間”(?)も圧巻でした。


8位 京都-洛中洛外図と障壁画の美(東京国立博物館)

大好きな又兵衛の舟木本をはじめ、洛中洛外図総覧といった感じのとても楽しい展覧会でした。大画面スクリーンでの4K映像や二条城を再現しての展示など見せ方も工夫されていて、新しい美術展のカタチを提示しているようなユニークさも◎でした。


9位 描かれた都 -開封・杭州・京都・江戸-(大倉集古館)

こちらも企画力が光る美術展でした。それぞれの都市を代表する都市景観図を紹介するにとどまらず、中国絵画が日本に与えた影響や過程も知ることができ、とても面白く拝見しました。ウワサの長谷川巴龍にはお口あんぐりでしたが(笑)


10位 アンドレアス・グルスキー展(国立新美術館)


本当は同じ国立新美術館で開催していた『アメリカン・ポップ・アート展』のついで感覚で観た展覧会だったのですが、グルスキーの写真のインパクトには驚きました。写真というよりコンセプチュアル・アートを観ているような。スケールの大きな作品を国立新美術館の天井の高い広い空間で観られたのも良かったんだと思います。


別枠 幸田文展(世田谷文学館)

美術展ではありませんが、個人的に一番好きな作家・幸田文を単独で取り上げた初の展覧会ということで、館内にいた時間でいえば、もしかしたら一番長く観ていたかもしれません。幸田文の作品にまつわる資料や愛用品などが集められ、ファンにはたまらない展覧会でした。




今年観た展覧会を振り返える季節になり、ツイートでは今年は不作だったかなぁ~というような声を耳にし(目にし)、そうかもな~と思って自分が観た展覧会を見直してみると、いやいやどうして、こんなにたくさん素敵な展覧会に今年も行ってるんだとあらためて痛感しました。

ベスト10には漏れましたが、サントリー美術館の『「もののあはれ」と日本の美』や、千葉市美術館の『琳派・若冲と花鳥風月』も日本画好きの自分には満足度の高い展覧会でした。日本民藝館の『つきしま かるかや』もとても印象に残ってます。先日観てきた『下村観山展』も迷ったのですが、後期も観てからと思い、今年は外しました。また、板橋区美術館の『狩野派 SAIKO!』や出光美術館の『江戸の狩野』などで今年は狩野派の面白さにも気づかされた年でもありました。

西洋画でも、ブリヂストン美術館の『カイユボット展』やBunkamura ザ・ミュージアムの『アントニオ・ロペス展』、国立西洋美術館の『ラファエロ展』も最後までベスト10に入れようかどうしようか悩むぐらい良かったです。


ちなみに、当ブログへのアクセス回数がでいうと、
1位 『フランシス・ベーコン展』
2位 『ラファエロ展』
3位 『夏目漱石の美術世界展』
4位 『ターナー展』
5位 『狩野山楽・山雪展』
6位 『ファインバーグ・コレクション展』
7位 『竹内栖鳳展』
8位 『エル・グレコ展』
9位 『アメリカン・ポップ・アート展』
10位 『川合玉堂展』
の順となりました。

今年もこんなつまらないサイトに足をお運びただきありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

4 件のコメント:

  1. こんばんは。

    TBありがとうございました。
    今年は例年以上に選ぶのに苦慮しましたね。

    アクセス回数で選ぶベスト10というのも面白いです。

    今年もよろしくお願い致します。

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  2. >Takさん
    こんばんは。
    ご丁寧にコメントありがとうございます。
    毎年毎年悩みますが、昨年はいつも以上に悩みました。
    アクセス数を見ると、どんな展覧会が人気なのかがよく分かりますね。

    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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  3. ご覧になっている展覧会がとてもよく私と重なるので、なんだか嬉しかったです。
    ベストにお選びになっているものにも納得ですし。美術ファンって本当に好みが人それぞれだなあ、といつも感じますので、なおさらです。山楽山雪は素晴らしかったですね!私もはるばる京都まで行った甲斐がありました。

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    1. >みけさん
      こんばんは。好みが似ているとは!嬉しいですね。ありがとうございます。おっしゃるように、みなさん趣味がいろいろ異なりますからね。ほんと山楽・山雪展は行けなかったら後悔していたと思います。

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