2014/04/28
キトラ古墳壁画
東京国立博物館で開催中の特別展『キトラ古墳壁画』に行ってきました。
予想はしていましたが、すでに初日から大変な混雑のようで、GWがはじまってからは昼間は60分とか70分の行列ができることも。展示会場に入っても壁画に辿り着くまでさらに20~30分かかるといいます。(混雑の状況などの情報はキトラ古墳壁画公式ツイッター(@kitora2014)でツイートされています)
昼間並んで無為に時間を過ごすよりましだと開館の1時間以上前から並びましたが、開館1時間ぐらい前から急激に列が伸び、あっという間の大行列。先頭集団で会場に入れたので人混みを避けゆっくり観ることができましたが、2巡しようと思ったときはもう会場内もかなりの混雑になっていました。閉館前は待ち時間も比較的短いようなので、都合がつくなら閉館前が狙い目かもしれません。
さて、会場に入ると、いきなりの壁画登場!しかもケースなしの剥き出し!と思ったら、複製陶板でした。それでもとても精巧に作られていて、実際の壁画と比べても遜色ありませんし、縦置きなので見やすい。まずはここでキトラ古墳の壁画がどんなものかしっかり観ておきましょう。天井も忘れずに。
そのあと、キトラ古墳からのガラス玉や飾り金具などの出土品や、出土の経緯や保護の様子を収めた映像(というか写真)がモニターで流れていて、そして遂にホンモノの壁画が登場!
壁画は切り取られた部分のみ横置きで展示され、北壁の玄武、西壁の白虎、南壁の朱雀、最後に北壁の子・丑・寅(寅のみ複製)の順に並んでいます。四神の玄武・白虎・朱雀は状態も良く、色・線ともにはっきりしています。全体の色味はレプリカの方がクリアーですが、やはり実物は質感が違うし、何より神秘的です。
子・丑は損傷が激しく、微かに線らしきものがあるなと確認できる程度ですが、顔は動物、体は人間という半身半獣の異形の姿が見て取れます。天井に描かれた世界最古級という天文図と四神の内の東壁の青竜は修復の関係で現物は公開されてません(レプリカはあり)が、よくぞこれだけのものを東京まで持って来てくれたなと思います。
時代としては奈良時代末期され、古墳としては終末期のものですが、高松塚古墳と並ぶ貴重な彩色壁画ということで、大陸の影響や高松塚古墳との関連、またそれぞれの絵にどんな意味があるのか、どんな顔料を使っていたのか、そして眠っている人は誰なのか、興味は尽きません。
会場の最後には、キトラ古墳と1キロの距離にある高松塚古墳の複製もあり。今はカビが発生し、劣化してしまったと聞きますが、複製では発掘時の鮮やかな色の壁画を観ることができます。
高松塚古墳の失敗があってのキトラ古墳の保護プロジェクトなのでしょうが、今回の展覧会で興味深かったのが壁画保護の技術の高さ。高松塚古墳の発見がせめて20年遅ければ、あの極彩色の壁画もキトラと同じように保存されたのかなと思ったりもしました。
会場は本館1階入口を入ってすぐの特別5室なので、並んでなければ実際には20分もあれば十分見終えてしまうもの。観ている時間は一瞬かもしれませんが、壁画の価値は時間では計れません。考古学ファンでなくても一度は観ておきたい展覧会です。
(2016年に明日香村に開館予定の国営施設で公開される予定があるそうです)
【特別展 キトラ古墳壁画】
2014年5月18日(日)まで
東京国立博物館・本館特別5室にて
高松塚・キトラ古墳の謎 (歴史文化ライブラリー 306)
まりこふんの古墳ブック
楽しい古墳案内 (別冊太陽 太陽の地図帖 23)
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初日に早朝から並び(それでも2番目(^_^;))見てきました。
返信削除『よくぞこれだけのものを東京まで持って来てくれた』
同感です!!
私は2010年に飛鳥資料館で四神揃って見て以来の再会でした。
昨年、壁画がトーハクに来ると知ったときとても驚きました。
明日香村を出るとは。
キトラ古墳の発見は、『高松塚のような古墳が自分の集落にもある』と阿部山の
住人からのひとことが始まりだそうです。
それから30年。
壁画を近くで見れるのは、カビと微生物との戦いで修復、保存に尽力された方々の賜物だと思います。
図録にはどのように四神が書かれたのか、漆喰から剥がす時の苦労話なども
のっていました。
せっかくの機会なので、1300年も前のお墓の中にタイムスリップするするのも
いいかなと思います。
はじめまして。コメントありがとうございます!
返信削除初日の早朝から並ばれたとはツワモノですね。将来的に明日香村でも観られるといっても、じゃあ明日香村まで観に行くかというと、そうは軽くいけないですからね。今の機会にしっかり観ておきたいなとおもいました。
カビや微生物の問題は深刻ですね。後世に大切に伝えていってほしいものです。