2011/08/11

空海と密教美術展


上野の東京国立博物館で開催中の「空海と密教美術展」に行ってきました。

出品作品全99点の内、国宝と重要文化財が98.9%という、まぁほぼ100%が国宝・重要文化財という空前絶後の展覧会です。ただし、期間中、作品の展示替えがかなりあるので、すべてを観ようと思うと3~4回は訪れないといけないというのが難点でしょうか。中には、“10日間限定公開”というクセモノもあります。

会場の構成は、
第一章 空海-日本密教の祖
第二章 入唐求法-密教受法と唐文化の吸収
第三章 密教胎動-神護寺・高野山・東寺
第四章 法灯-受け継がれる空海の息吹
仏像曼荼羅

となっています。

国宝 「諸尊仏龕(しょそんぶつがん)」
(唐時代・8世紀) 和歌山・金剛峯寺

空海が中国で密教を修め、日本に持ち帰ってから約1200年。会場には、空海が中国から請来した絵画、仏像、法具のほか、それらの中国渡来の作品や文化に影響を受けた密教美術の名品、また“弘法も筆の誤り”といわれた空海の直筆の書、さらには密教美術を代表する仏像の数々まで、良くぞここまで掻き集めたと唸るばかりの贅沢なラインナップになっています。

 国宝「両界曼荼羅図 (西院曼荼羅)」
(平安時代・9世紀) 京都・東寺蔵
展示期間:胎蔵界7/20~8/21、金剛界8/23~9/25

東寺の「両界曼荼羅図 (西院曼荼羅)」は彩色の両界曼荼羅図としては現存する最古のものだそうですが、その鮮やかさは1000年以上の時代を経たものとは思えない美しいものでした。そのほか、この機会を逃したらそうそう見られないといわれる空海が中国から持ち帰ってきた請来本を基にしたといわれる現存最古の国宝 「両界曼荼羅図 (高雄曼荼羅)」をはじめ、平清盛の頭の血を大日如来の宝冠の彩色に使ったと伝えられる「両界曼荼羅図 (血曼荼羅)」(重文・金剛峯寺蔵)も8/16から展示されます。

重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」
(平安時代・9世紀) 京都・醍醐寺蔵

国宝「阿弥陀如来および両脇侍像」
(平安時代・888年) 京都・仁和寺蔵

会場の後半は、仏像のオンパレード。醍醐寺や仁和寺、西大寺、金剛峯寺などから密教美術を代表する仏像の数々が登場します(こちらも一部展示替えあり)。最大の目玉は、東寺の“仏像曼荼羅”。東寺講堂には大日如来を中心に21体の仏像が安置されていますが、その内の8体(いずれも国宝)が恐れ多くも展示されています。これだけの仏像が運び出されたとなると、東寺の講堂は今、スカスカなんでしょうね。

国宝「帝釈天騎象像」
(平安時代・839年) 京都・東寺(教王護国寺)蔵

国宝「持国天立像(四天王のうち)」
(平安時代・839年) 京都・東寺(教王護国寺)蔵

東寺講堂の仏像の選択と配置は空海の思想が反映されているそうですが、空海はその完成をみることなく入滅します。東寺は京都駅から近いこともあり、自分も何度も足を通わせてますが、後ろの方に配置されている仏像や普段見られない後姿も存分に見ることができ、東寺で見るのとはまた趣の違うものがありました。

空海のあとは、10/25から「法然と親鸞」展と仏教とつながりの深い展覧会が続きます。


【空海と密教美術展】
東京国立博物館にて
2011年9月25日(日)まで


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