2011/05/07

包む―日本の伝統パッケージ展

目黒美術館で開催中の『包む―日本の伝統パッケージ展』に行ってきました。

目黒区美術館って初めて行ったのですが、目黒駅からだと権之助坂を下り、目黒川沿いにしばらく歩いたところにあるテニスコートやプールなど区の施設のある一角にあります。目黒川沿いは都内でも有数(?)の桜の名所。桜の咲いてる時季はさぞきれいで、賑やかだったんでしょうね。桜の頃に来ればよかったと、ちょっと後悔しました(川は相変わらず臭かったですが…)。

(上写真)≪卵つと≫ 山形県

さて、今回の『包む展』は、明治生まれのグラフィック・デザイナー岡秀行さん(1905-1995)のコレクションを紹介したもので、食料品や菓子折などの容器から、米俵や藁の苞(つと)、酒瓶などまで、日本の風土や自然素材を色濃く反映した“伝統パッケージ”を展示しています。

≪さらさあめ≫ 宮城県/熊谷屋

会場は、それぞれ「木」、「竹」、「笹」、「土」、「藁」、「紙」といった素材ごとにスペースを分けられ、展示されています。 

≪澤の鶴≫ 兵庫県/沢の鶴

恐らく何百年という長い経験や生活の中で生まれた藁や笹を使った包装物。職人技さえ感じさせる工芸的な美しさに溢れています。菓子折や食品のパッケージなどは大正時代から昭和の30年代頃にかけてのものだと思われますが、現代のグラフィックデザインにはない“心”を感じさせる懐かしさ、美しさ。日本ならではの“美意識”を思わずにいられません。

≪真盛豆(利休井筒)≫ 京都府/金谷正廣

小さな頃、こういう包みを見たことあるなとか、お土産に買ってもらったことあるなとか、こんな洒落たものがあったのかとか、あまりに楽しくて面白くて、同じところを何度もグルグルしてしまいました。今度地方に旅行や出張に行ったときは必ずこういう商品を探してこよう、買ってこようと思うこと必至です。

≪鬼づら≫ 香川県

樽や甕がビンやプラスチックになり、藁が発泡スチロールになり、便利さや合理化の流れで、どんどん伝統や個性、手わざが失われていく。こうしたコレクショ ンを蒐集した岡秀行さんがかつて危惧した以上に、現代ではどんどん進行しています。それはある意味、日本の古き良き伝統が失われていくことを意味してもいます。「これほど美しく、これほど心を動かされるものが、かつては日常生活にあふれていたのは驚くべきことである」と会場にありましたが、これだけ素晴らしい伝統が失われていくのはほんと悲しいと思います。

≪濱焼桜鯛≫ 岡山県/鯛惣

でも、結局それは私たち日本人が近代化と引き換えにどこかに捨ててきたものなのですが、果たしてそれで良かったのかと、この展覧会はふと立ち止まらせるきっかけになるような気がします。ただの懐古趣味の展覧会ではなく、日本にはこんな素晴らしい伝統があったんだと再確認・再評価する意味は十分にある気がします。おすすめの展覧会です。

≪岡山獅子≫ 岡山県/中尾正栄堂


【包む―日本の伝統パッケージ展】
目黒区美術館にて
5/22(日)まで

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