実は1月から開催していて、すでに後期展示も後半。4月は忙しくて展覧会にほとんど足を運べなかったのですが、連休に入りようやく時間が作れたので早速伺ってきました。
1階はミイラやブロンズ神像といった古代オリエンタル美術、ヘンリー・ムーアなどの現代彫刻、インドから中国にかけての古代東洋彫刻を展示。2階に上がると、中国やベトナム、日本などの陶磁を集めた『館蔵 東洋陶磁展』、そして日本画の『美しい人びと』と続きます。
『美しい人びと』はその名のとおり、上村松園や鏑木清方、伊東深水、伊藤小波といった近代日本画を代表する美人画家の作品がずらり。
松園は代表作の「春宵」が出ているのが嬉しい。小波の「秋の夕」は何か観たことがあるなと思ったら、松園の「夕べ」(山種美術館蔵 ※本展には出品されていません)に倣ったものとか。深水は能を舞う女性のきりりとした姿が美しい「仕舞熊野」がいい。深水でここまで大きな作品はあまり観たことがないような気がします。
[写真左から] 伊藤小波 「秋の夕」、鏑木清方 「菖蒲」、伊東深水 「夕涼み」
上村松園 「春宵」
昭和11年(1936)
昭和11年(1936)
伊東深水「仕舞熊野」
昭和37年(1962)
昭和37年(1962)
その中でも目を惹いたのが池田蕉園・輝方の屏風「桜舟・紅葉狩」。輝方が描いたという左隻「紅葉狩」は、美少年を振り返って見つめる女性たち、妻・蕉園が描いたという右隻「桜舟」は花見の舟で若衆と楽しげに過ごす女性たちという構図が面白い。これも美しい人びと。
池田蕉園・輝方 「桜舟・紅葉狩」
明治45年(1912)頃
明治45年(1912)頃
そして、加島美術の『蘇る!孤高の神絵師 渡辺省亭』の関連展示として、松岡美術館が所蔵する渡辺省亭の作品も展示されています。澄んだ水の中をゆっくりと泳ぐ鯉。長閑な景色の中を悠々と飛ぶ雀。桜や藤、青梅といった、春から初夏にかけての花や果実との組み合わせがまたいいですね。鳥や鯉の写実的な表現はさすがに巧いのですが、青梅や藤、寒菊の描写が味わいがあるというか、生き物とはまた違う巧さ。
[写真左から] 渡辺省亭 「寒菊図」 「青梅に雀の図」 「遊鯉図」
[写真左から] 渡辺省亭 「藤花遊鯉之図」 「桜にやまどりの図」
美術館の一部屋だけの特集展示なので、作品数は多くありませんが、良質な美人画が揃っています。渡辺省亭もこの機会に是非。
【松岡コレクション 美しい人びと】
2017年5月14日(日)まで
松岡美術館にて
渡辺省亭: 花鳥画の孤高なる輝き
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