2014/03/05

探幽3兄弟展

板橋区立美術館で開催中の「探幽3兄弟展」に行ってきました。

江戸狩野派を興した狩野探幽には二人の弟、尚信・安信がいて、本展はその3兄弟の画業にスポットを当てた展覧会です。

江戸狩野派というと、永徳の孫で、江戸絵画を代表する絵師・探幽がズバ抜けて有名ですが、弟・尚信、安信も徳川幕府の御用絵師として活躍していたことは意外と知られていないのかもしれません。探幽(鍛冶橋狩野家)、尚信(木挽町狩野家)、安信(中橋狩野家)は狩野派の基礎を築くだけでなく、奥絵師狩野四家(他に浜町狩野家)として江戸画壇の筆頭に君臨し続けます。

昨秋、出光美術館で開催された『江戸の狩野派展』でも、探幽・尚信が取り上げられていましたが、本展は安信も加え、3兄弟に絞って作品を紹介しています。また前後期合わせると作品数も53点と多く、近年の江戸狩野派の再評価に呼応するような企画で、もう一度狩野派の作品とじっくり向き合いたい方には打ってつけの展覧会ではないでしょうか。(展示作品は、前後期でほとんどが入れ替わり、入れ替えのない作品も場面替えなどがあります)


さて、まずは探幽の作品から。

狩野探幽 「雪中梅竹鳥図襖」(重要文化財)
寛永11年(1634年) 名古屋城総合事務所所蔵 [前期展示]

最初に登場するのが、“これぞ探幽様式”という「雪中梅竹鳥図襖」。祖父・永徳の巨木表現とも異なり、形の良い白梅の古木がバランスよく配されています。余白を大胆にとった洗練された構図は探幽の最たる特徴。一番左の襖には尾長鳥が描かれていて、風情も秀逸です。

狩野探幽 「波濤群燕図」
寛文10年(1670年) 常盤山文庫蔵 [前期展示]

出光の『江戸の狩野派展』にも出品されていた「波濤群燕図」にも再会。そのときのブログにも書きましたが、ほんと面白いし、センスが抜群だなぁと思います。ちなみに『江戸の狩野派展』とダブる作品は本作品のみのようです。

狩野探幽 「慈眼大師尊像」
聖衆来迎寺蔵 [前期展示]

「慈眼大師尊像」は徳川幕府の黒衣の宰相として知られる天海の肖像画。天海の死の直前に家光が探幽を呼び描かせたといいます。顔の皺は何度も筆を重ね、瞳には単眼鏡で覗いてやっと分かるぐらいの虹彩を入れるなど非常に丁寧に描かれています。耳たぶが大きいのは探幽の肖像画の特徴なのだとか。もちろん背景の水墨山水画もしっかり探幽様式。

狩野探幽 「群虎図襖」(重要文化財)
南禅寺蔵 [後期展示]

ほかに探幽では、板橋区立美術館蔵の「富士山図」、尚信・安信と共同制作の「文珠・龍・虎図」や「板倉重昌像・鷹図・馬図」が展示されています。後期には重文の「群虎図襖」などが登場します。

つづいて、尚信。
先の『江戸の狩野派展』で、その機知に富んだ表現力に驚き、一番興味を覚えたのが尚信でした。本展でもなかなかの優品が揃っています。

狩野尚信 「富士見西行・大原御幸図屏風」
板橋区立美術館蔵 [前期展示]

「富士見西行・大原御幸図屏風」は右隻に速筆で富士見図を、左隻はより抑揚をつけた筆つきと和様のタッチで大原御幸図を描き、その描写の妙が素晴らしい。富士見図の左下には富士を仰ぎ見る西行が小さく描かれていて、その風情も◎。他に屏風では、中国の四季の田園風景といった趣ですが、濃墨の力強さと古さびた雰囲気がとてもいい「瀟湘八景図屏風」や、古画の伝統にならいつつ探幽様式と独自のアレンジを調合したという「李白観瀑・剡渓訪載図屏風」が印象的。尚信の最も早い作例の一つという二条城・黒書院の「松図襖・壁貼付」も展示されていたのですが、こちらはまだ桃山様式の障壁画の名残があり、思いのほか平凡な感じ。解説パネルには「狩野一族の長老の助力と影響を強く受け、尚信の個性を強く出すことはできなかったよう」とありました。ふむふむ。

狩野尚信 「文珠・荷鵞・蘆雁図」
根津美術館蔵 [前期展示]

「文珠・荷鵞・蘆雁図」は尚信の人物・花鳥図の典型だそうで、その端正な筆致に目が留まります。ほかに「六祖図」や「朝陽図」の人物描写も筆遣いが軽快で表情がいい。口元がへの字に描くのは尚信の人物図の一つの特徴のようです。

尚信は44歳の若さで亡くなり、後に岡倉天心が「尚信にして長生せば、兄に優りしならん」と、彼の早世を惜しんだといいます。

狩野安信 「牡丹図」
個人蔵 [前期展示]

最後に安信。
安信というと、自分自身もそんなに強い印象があるわけでなく、長兄の探幽に冷遇されていたとか、探幽・尚信に劣るとか、そうしたイメージしかありませんでした。なるほど安信は探幽より一回り年下で、また二人の兄が若くして名を馳せ、年少の安信とでは実力の差が歴然としていたのかもしれません。3兄弟が江戸城に招かれ席画を描くように言われた際、探幽に「兄たちが描くのを見ておけ」と命じられ、筆を執らせてもらえなかったというエピソードもあります。

そうしたこともあってか、安信は和漢の古画の研究に熱心で、狩野派の画論『画道要訣』を残していたりします。『画道要訣』では、「質画」(天賦の才による作品)より「学画」(古画の学習に努めた上での作品)を重視し、狩野派の粉本主義を決定づけたともいわれます。そんな安信の作品は、真面目な性格が見て取れるというか、筆遣いにも実直なところがあり、丁寧できっちりとした筆致のものが多いような気がしました。

狩野安信 「人物花鳥画帖」
板橋区立美術館蔵 [期間中場面替えあり]

それでも「牡丹図」の繊細な色彩の表現や質感、「人物花鳥画帖」の軽妙な描写は安信の技量の確かさを感じさせます。室町期の水墨山水画の学習の成果という「四季山水図襖・床貼付」や、人物描写が豊かな「蘭亭曲水図屏風」、淀みのない線描が見事な「豊干・寒山・拾得図」なども印象的です。

狩野安信 「竹虎図屏風」(左隻)
浄福寺蔵 [前期展示]

度肝を抜くのが、会場の最後に展示されていた「竹虎図屏風」。観に行った日は左隻のみの展示でしたが、江戸時代以前の屏風としては日本最大級ということで、その大きさにまず驚かされます。出光で観た尚信の虎もかわいいのが印象的でしたが、安信の虎も愛嬌があり、川面に映った自分の顔を凝視する姿などユーモアがあります。確かに安信の作品には「学画」的なところが見受けられるものもありますが、もっと高く評価されていいのではないかと感じる部分も多々あり、後期展示もじっくり観てみたいと思わせました。


江戸狩野派の発掘と再評価の活動を続けてきた板橋区立美術館が満を持して開催する展覧会だけあり、ちょっと不便な場所ではありますが、バスに揺られて出かける価値のある展覧会です。前期のチケットの半券を提示すると後期展示が半額で鑑賞できるそうです。


【江戸文化シリーズNo.29 探幽3兄弟 ~狩野探幽・尚信・安信~】
前期:2月22日(土)~3月16日(日)
後期:3月18日(火)~3月30日(日)
板橋区立美術館にて


もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション)もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション)


江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす (日本文化 私の最新講義)江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす (日本文化 私の最新講義)


江戸絵画の不都合な真実 (筑摩選書)江戸絵画の不都合な真実 (筑摩選書)

2014/03/02

アンディ・ウォーホル展 永遠の15分

六本木ヒルズの森美術館で開催中の『アンディ・ウォーホル展 永遠の15分』に行ってきました。

ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館のコレクションで構成したアジア巡回展を、東京向けに再構成した展覧会。これだけまとまった形の回顧展は1996年に東京都現代美術館で開催された『アンディ・ウォーホル 1956-86』以来じゃないでしょうか。しかも本展は、初期から晩年まで約400点におよぶ作品や写真、また300点にのぼるウォーホルの私的コレクション(“タイムカプセル”)を紹介していて、日本では過去最大級のウォーホル展だそうです。

ウォーホルが亡くなって27年。自分が10代の頃はまだウォーホルも現役で、その活躍ぶりは雑誌などでよく目にしていましたし、亡くなった後もたびたび彼の作品は見ていて、リアルタイムで知っている現代アーティストの中では最も有名で、最も身近だった人かもしれません。会場は若い世代の観客がとても多く、いまも多くの人が強い関心を持っているんだなとあらためて気づかされました。


アンディ・ウォーホルのポートレイト:ウォーホルとは何者なのか

まずは導入部として、ウォーホルの出自を紹介しながら、幼少期の写真や気鋭のデザイナーとして活躍していた頃の写真、日本に観光旅行したときの写真、また自分の顔を素材にした自画像などを展示。

「自画像」(1986)

「ぼくの絵と映画、そしてぼくの表面を見るだけでいい。そこにぼくがいる。裏には何もない。」
会場のところどころにはウォーホルが残した言葉が綴られています。ウォーホルはデザイナー、アーティスト、映画監督、音楽プロデューサー、雑誌発行人など多面的な顔を持ち、自分自身さえもまるで商品のようにメディアに露出させ、マルチクリエイターと一言で括れないほど、その全容を理解するのはなかなか難しいものです。


1950年代:商業デザイナーとしての成功

ここでは、『Glamour』や『VOGUE』などファッション誌のイラストや商品の広告を手掛け早くから成功したウォーホルのイラストレーター時代の作品を紹介。

当時のウォーホルのトレードマークだったという“ブロッテド・ライン・ドローイング(しみつきの線)”と呼ばれる技法によるイラスト「靴と脚」や「無題(サム)」、またデザイン画、金箔を貼った靴などが展示されています。“ブロッテド・ライン・ドローイング”はイメージを描いた紙に別の紙を押しあててインクを転写する方法。複数生産を可能にすると同時に微妙に異なる繊細な線を生み、ウォーホルのイラストの特徴ともなり、また後のシルクスクリーン作品の原点になったということです。

「僕の庭の奥で」(1956年)

そのほか、1950年代に発表した実験的な作品集『僕の庭の奥で』のイラストや、ゴム印画作品などを展示。男の顔にスタンプを押したり、星条旗にスタンプを押したりという遊び心は1960年代以降の創作活動の発芽を感じられます。


1960年代:「アーティスト」への転身

1950年代末から「アーティスト」として絵画制作に打ち込んで以降の作品を紹介。1950年代のムーブメントだった抽象表現主義に影響されたこともあったようですが、1950年代末から沸き起こったポップアートに触発され、ウォーホルの代名詞となる「キャンベル・スープ缶」や「マリリン」などを次々と発表します。

「ジャッキー」(1964)

「キャンベル・スープ缶」はスクリーンプリント作品だけでなく、手彩色した1点もの(?)の作品や、「マリリン」もテンプレート化された作品以外にも展覧会への出品は稀という「二つのマリリン」など、なかなか見られない作品もありました。そのほか、エルヴィス・プレスリーやエリザベス・テーラー、ジャクリーン・ケネディといった有名人を素材にした一連の肖像画作品や、自殺や自動車事故をテーマにした「死と惨事」シリーズ、「電気椅子」「病院」といったセンセーショナルな作品群、「牛の壁紙」などの意欲的な作品等々、60年代のウォーホルを代表する作品を展示されています。

「電気椅子」(1971)


シルバー・ファクトリー

ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」を展示室に再現。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコやファクトリーで撮影された映像も紹介しています。


1970-80年代1:ビジネス・アートとセレブリティ

1970年代に入って次々と量産する、映画・音楽界のスターや、ファッション界の有名人、各界のセレブや個人コレクターからの注文肖像画や、その素材として撮影された写真などを中心に展示。ミック・ジャガーやマイケル・ジャクソン、モハメド・アリ、アレサ・フランクリン、また坂本龍一といったシルクスクリーン作品や、デニス・ホッパーやライザ・ミネル、デボラ・ハリー、マドンナ、グレイス・ジョーンズ、トルーマン・カポーティらの写真が所狭しと飾られています。

こうして70年代、80年代のポップカルチャーを代表する錚々たる面々の顔を見ていると、ウォーホルがアートという枠を超えて、どれだけ時代の寵児だったのか、時代の本流にいたのかが分かります。


1970-80年代Ⅱ:多様化と反復

オーダーメイド的な「ビジネス・アート」とは別に、衰えぬ実験精神を強く感じさせる「ロールシャッハ」や「酸化絵画」、「縫合写真」、また「人体図」シリーズや「絶滅危惧種」シリーズといったユニークな作品を展示。個人的には、ジャン=ミシェル・バスキアとのコラボレーション作品が面白く、二人のコラボというよりウォーホルへのオマージュというようにも思えました。

ウォーホルは自分の死を予感していたのか、80年代にはウォーホル流の宗教絵画を手がけ、会場の最後には晩年の「十字架」が展示されています。そのほか、同じく晩年の代表作「カモフラージュ」シリーズも展示。懐かしいTDKのテレビCMも流されていました。


実験映画とヴィデオ

いくつものスクリーンに囲まれた空間に、それぞれウォーホルがファクトリーで手がけたビデオ作品が流されています。イーディ・セジウィックやニコ、ボブ・ディラン、マルセル・デュシャン、また岸田今日子や仲谷昇も登場する『スクリーンテスト』、ウォーホルの“スーパースター”、イーディ主演の『ルペ』、ウォーホルの代表的な実験映像作品『エンパイア』や『スリープ』など。ここは真面目に観ようとすると何時間もかかるので、ちょっと見。


タイム・カプセル

ウォーホルは身近なグッズや雑誌、旅行先で買い求めた物などを大切に収集していた(というより取っておいた)そうで、それらが「タイム・カプセル」としてウォーホル財団には600箱以上も保管されているといのことです。ここではその「タイム・カプセル」の一部を披露。当時のファッション雑誌や、来日時の記念写真、歌舞伎や浮世絵の本なども飾られていて、ウォーホルの趣味的な一端を覗くことができて面白いです。


ウォーホルとは何者なのか。ウォーホルの足跡をいま一度確認するという点で、またとない機会の展覧会だと思います。これだけの展示作品があっても、まだまだ観たい、もっと観たいと思わせる刺激に溢れています。


【森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分】
2014年5月6日(火)まで
森美術館にて


アンディ・ウォーホル展 永遠の15分 Andy Warhol: 15 Minutes Eternalアンディ・ウォーホル展 永遠の15分 Andy Warhol: 15 Minutes Eternal


美術手帖 2014年 03月号 [雑誌]美術手帖 2014年 03月号 [雑誌]


ウォーホルの芸術 20世紀を映した鏡 (光文社新書)ウォーホルの芸術 20世紀を映した鏡 (光文社新書)

2014/02/26

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900

『ラファエル前派展』につづいて、三菱一号館美術館で開催中の『ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900』に行ってきました。

本展はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館の所蔵作品を中心に、19世紀後半の耽美主義(唯美主義)を代表する絵画や本の挿絵、工芸品、宝飾品など約140点を紹介した展覧会。2011年にヴィクトリア&アルバート博物館で開催された『The Cult of Beauty: The Aesthetic Movement 1860-1900』を日本向けに新たに構成しなおしたということです。

英語のタイトルは『Art for Art’s Sake (芸術のための芸術)』。芸術至上主義、美のための美を追求したイギリスの唯美主義の美術にスポットを当てた総合的な展覧会としては日本初なのだとか。




19世紀半ばの美術やデザインの世界はさまざまな形式や理論が入り乱れていて、そこに「ひとつの明確で革命的な理想」として現れたのが“唯美主義”であると会場の説明にありました。

 ウィリアム・ド・モーガン 「大皿」
1888年頃 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

唯美主義の芸術家やパトロンの邸宅を飾ったのがこうした工芸品で、それは必需品であり、ステータスであったようです。ヒマワリや孔雀は唯美主義のシンボルとして、いろいろな作品にたびたび登場します。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「ヘスペリデスの園」
1882年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

バーン=ジョーンズの「ヘスペリデスの園」は装飾性が高く、なんともゴージャスな作品。表面は浅浮彫りで細工され、仕上げに金と白金の箔が貼られています。


新たな美の探求

『ラファエル前派展』を観てきた流れで考えると、ロセッティやミレイあたりが唯美主義の原点なのかなとばかり思っていたのですが、そうした前衛の画家だけでなく、正統派の画家の中でも伝統的な主題にとらわれず、フォルムや色彩の美を追求した唯美主義者がいたとありました。ワッツやフレデリック・レイトンがその代表的な画家のようです。

ジョージ・フレデリック・ワッツ 「孔雀の羽を手にする習作」
1862-65年頃

ワッツというと象徴主義の代表作「希望」を思い浮かべますが、もともとはイタリア・ルネサンスに影響を受けだ画家だそうで、この「孔雀の羽を手にする習作」は白く柔らかな肉感の中にも美しさや色気が前面に出ていて、古典的な女性像にはない官能性が際立っています。会場の解説に「女性を単に美の対象として見るのではなく、モデルの性的な魅力を率直に楽しむように描いた」ということが書いてあったのですが、この辺りから裸婦画に性的な意味が盛り込まれるようになったということなんでしょうか。

そのほか、レイトンの「パヴォニア」やロセッティの「愛の杯」がとても印象的。ロセッティによる装幀や挿絵なども展示されています。


遠い過去、遥かなる場所Ⅰ ジャポニス
遠い過去、遥かなる場所Ⅱ 古代文化という理想


唯美主義の芸術家やデザイナーは当時ヨーロッパでブームになっていたジャポニスムや、また古代ギリシャ美術をイメージソースにした作品を発表します。

勉強不足だったんですが、“アングロ・ジャパニーズ”という様式を始めて知りました。日本美術や特に浮世絵の色彩やデザインに影響を受けたインテリアや家具デザインのことで、多様な装飾的要素を組み合わせ、形態の軽快さや美しさにポイントを置いていたということです。ゴドウィンの装飾デザインや生地見本帳、ホイッスラーによる花瓶など、日本的なものにヨーロッパの美的センスが融合していて興味深いものがあります。

アルバート・ムーア 「黄色いマーガレット」
1881年 郡山美術館蔵

フレデリック・サンズ 「メディア」
1866-68年頃 バーミンガム美術館蔵

ムーアの「黄色いマーガレット」は古代ギリシャの女性像を彷彿とさせつつも、写実的な質感と色彩が陶然とするほどの美しさ。「メディア」はサンズの代表作とのこと。メディアのドラマティックで呪術的要素が伝わってきます。ほかに、アルマ=タデマのデザインによる腕輪や肘掛け椅子も見もの。


唯美主義運動とグローヴナー・ギャラリー

唯美主義のサロン的な役割を果たしたロンドンのグローヴナー・ギャラリーに所縁の作品を展示。縦に細長いキャンバスに女性の全身を彫像のように描き、まわりに花をあしらったムーアの「花」がここでも素晴らしい。

ウィリアム・ブレイク・リッチモンド 「ルーク・アイオニディーズ夫人」
1882年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

フレデリック・レイトン 「母と子(さくらんぼ)」
1864-65年頃 ブラックバーン美術館蔵

≪「美しい人々(上流人士)」と唯美主義の肖像画≫では、リッチモンドの「ルーク・アイオニディーズ夫人」とレイトンの「母と子(さくらんぼ)」が秀逸。リッチモンドの衣装の質感やレイトンの百合やサクランボの写実を超えた美しさには目を見張ります。「ルーク・アイオニディーズ夫人」には背景に手の込んだ刺繍が施された日本の絹地が、「母と子」には鶴の屏風が描かれ、ともに当時のジャポニスム・ブームがいかにヨーロッパの生活に受け入れられていたかがよく分かります。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「ブローチ」
1890年頃 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

バーン=ジョーンズのデザインによるトルコ石や珊瑚、真珠、ルビーを象嵌したブローチや、象牙と黄水晶を象嵌したブローチなど、女性でなくとも綺麗だなと思う作品がズラリ。


ホイッスラーとゴドウィン

モリスやホイッスラーと関係の深かった建築家ゴドウィンによるデザイン建築図やデザイン画から飾り戸棚やテーブルまで、またホイッスラーのエッチング作品などを展示しています。ちなみに、出品リストでは≪唯美主義運動とグローヴナー・ギャラリー≫の前にあるのですが、実際にはそのあとに展示されています。

ジェームズ・マクニール・ホイッスラー 「ノクターン: 黒と金-輪転花火」
1875年 テイト蔵

グローヴナー・ギャラリーに展示されたホイッスラー作品を、かつてラファエル前派を高く評価していた評論家ラスキンが酷評したことがきっかけで裁判沙汰になります。「ノクターン: 黒と金-輪転花火」はそのとき展示されていたホイッスラー作品の一枚。当時ホイッスラーは夜景の闇と花火などの瞬間的な光の美しさに強い関心を示し、類似の作品を多く残しているようです。ちなみに、ホイッスラーは勝訴するも裁判費用のため破産してしまったのだとか。

テムズ川、ヴェネチア、アムステルダムをそれぞれ描いたホイッスラーのエッチングもとても印象的でした。


「ハウス・ビューティフル」

唯美主義の絵画芸術の盛り上がりとともに、室内装飾への関心が高まったといいます。ここでは当時の室内装飾の様子を絵画やデザインから観ていきます。

アンナ・アルマ=タデマ 「タウンゼンド・ハウス 応接間、1885年9月10日」
1885年 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ蔵

まず目を見張るのは、アンナ・アルマ=タデマの「タウンゼンド・ハウス 応接間」。アンナ・アルマ=タデマはイギリスを代表するヴィクトリア調時代の画家ローレンス・アルマ=タデマの娘で、本作はローレンスの自宅兼アトリエを描いたもの。なんとアンナが17歳のときの作品だそうです。父譲りの精緻で写実的な美しい作品。調べても検索に引っかからないので、画家としては活躍しなかったのかもしれませんが、「才能あるアマチュア画家」とパネルで解説されていた通り、恐るべき才能の持ち主だったようです。

ウォルター・クレイン 「奥方の部屋」
1881年頃 スティーブン・キャロウェイ・コレクション

アーツ&クラフツとも関わりの深い挿絵画家クレインの「奥方の部屋」も素敵です。当時の最先端のお洒落な生活って、こんなだったんでしょうね。


「美術産業製品」 -唯美主義のデザイナーと営利主義

さて、一つ階を降りて2階の会場へ。
ここではクレインがデザインを手がけた壁紙やバーン=ジョーンズのお皿、ケイト・グリーナウェイやド・モーガンのタイルなど、色彩や模様の美しさが素晴らしい当時の商業製品を展示。ウィリアム・モリスの「家には役に立つと思うか美しいと信ずるもの以外置かないように」という言葉に、自分の家の中を見渡してしまいました(笑)


オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺

ここでは唯美主義の象徴として、時代の寵児となったオスカー・ワイルドの本の装幀やビアズリーによる挿絵、また当時の唯美主義者を揶揄した風刺画などが展示されています。

ワイルドは作品の内容が物議を醸すなど常に注目を集めいていたのは知られていますが、当時は唯美主義者そのものが不健全とか変人扱いされていて風刺の対象になっていたということは知りませんでした。しかし、ワイルドの名が唯美主義と同義語になっていたことが災いし、アルフレッド・ダグラスとのスキャンダルでワイルドが身の破滅を招くと、唯美主義の人気も評価も失墜してしまったといいます。

オーブリー・ビアズリー 「クライマックス -サロメ」
1907年(1894年初版) ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

ワイルドの享楽的で扇情的な作風とビアズリーの耽美的で画風は、その時代の退廃的な、デカダンスなムードと相俟って、唯一無二の組み合わせだったのだなと強く感じます。

シメオン・ソロモン 「月と眠り」
1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵

『ラファエル前派展』でも気になっていたソロモンも数点展示されていました。いま観るとそれなりに評価ができると思うのですが、当時はこの同性愛的な表現はどう受け取られていたのでしょうかね。


輝かしい落日 -唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」

最後に19世紀末の絵画や写真、また彫刻を紹介しています。本展のメインビジュアルに使われているムーアの「真夏」はここに登場。鮮やかなオレンジ色の衣装とマリーゴールドの花環、またシンメトリーな構図がとても印象的です。ムーアの作品は「主題をもたない」と評されていますが、この絵に意味するものはなくとも、芸術のための芸術、美の極致を描こうとする確固とした意思は伝わってきます。

アルバート・ムーア 「真夏」
1887年 ラッセル=コート美術館蔵

19世紀後半のイギリスの芸術運動をただ絵画の側面だけで見るのではなく、美術工芸品も含めその特色を探るという意味で非常に興味深い展覧会でした。会場の三菱一号館美術館は英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計(明治27(1894)年に竣工)したもので、19世紀末の英国的な雰囲気を今に伝える空間でこれらの芸術作品を鑑賞できるというのもプラスだと思います。


【ザ・ビューティフル -英国の唯美主義 1860-1900】
2014年5月6日まで
三菱一号館美術館にて


モリスが先導したアーツ・アンド・クラフツ―イギリス・アメリカモリスが先導したアーツ・アンド・クラフツ―イギリス・アメリカ


もっと知りたいバーン=ジョーンズ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)もっと知りたいバーン=ジョーンズ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)


オーブリー・ビアズリーオーブリー・ビアズリー

2014/02/25

ラファエル前派展

六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催中の『ラファエル前派展』に行ってきました。

過度に甘美でロマンティックな女性賛美というか、その独特のムードがちょっと苦手でこれまで積極的には観てこなかったのですが、ラファエル前派から象徴主義、耽美主義にかけての英国絵画を取り上げた2つの展覧会がちょうど都内で同時開催されていましたので、せっかくの機会ですから一緒に観て参りました。

まずは『ラファエル前派展』から。

本展はロンドンのテートを皮切りに、モスクワ、ワシントンと回ってきた巡回展だそうで、テート所蔵の72点の作品が展示されています。

“ラファエル前派”とは、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントの3人の美術学生によって1848年に結成された「ラファエル前派兄弟団」がベースで、当時のイギリスのアカデミズム偏重の美術教育に異を唱え、イタリア・ルネサンスの画家ラファエロに象徴される古典主義的な形式や慣例にとらわれない絵画を目指そうという芸術運動のこと。本展では“ラファエル前派”の3人の作品を中心に、第二世代のウィリアム・モリスやエドワード・バーン=ジョーンズらの作品、また“ラファエル前派”を中心とした人間関係にスポットを当てています。


1. 歴史 | History

歴史画は当時のイギリスでは最も上位におかれたジャンルで、ラファエル前派の画家たちは古典的な型に縛られない、リアルで独創的な歴史画を再構築します。

ここでの見ものは、なんといってもミレイで、その精細で極めて高い写実性と大胆な構図、そして美しい色彩にまず驚かされます。ハムレットの恋人オフィーリアを描いた「オフィーリア」はラファエル前派の最高傑作といわれるだけあり、その幻想的で、どこか崇高で、超越的な美の世界に目を奪われます。モデルは後にロセッティの妻となるエリザベス・シダルで、シダルは湯をはったバスタブで長時間ポーズをとらされたため風邪をひいたというエピソードが紹介されていました。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「オフィーリア」
1851-52年

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「マリアナ」
1850-51年

ミレイでは、シェイクスピアの『尺には尺を』を題材に、婚約者に捨てられた女性の嘆きと孤独な心情を端正な筆致と豊かな表現力で描いた「マリアナ」にも強く惹かれました。その色彩の美しさには思わず見とれてしまいます。優れて写実的な「釈放令、1746年」や、ペン画の「マティルダ王妃の墓あばき」など、ミレイの極めて高い画力に唸らされます。

ウィリアム・モリス 「麗しのイズー」
1856‐53年

気になったのはモリス唯一の油彩画という「麗しのイズー」。モリスは人物描写が得意でなかったそうで、平面的なところもありますが、それこそルネサンス以前の装飾絵画のよう。イゾルデの後側に竪琴を弾くトリスタンが描かれていたりします。そのほか、ヘンリー・ウォリスの若き詩人の死を劇的に描いた「チャタートン」やアーサー・ヒューズの三幅の祭壇画「聖アグネス祭前夜」も良かったです。ヒューズの「四月の恋」はちょっと苦手。


2. 宗教 | Religion

中世キリスト教絵画の図像や形式を写実性と独創性で復活させたラファエル前派の宗教画を紹介。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「両親の家のキリスト(大工の仕事場)」
1849-50年

ミレイの「両親の家のキリスト(大工の仕事場)」はイエスやマリア、ヨセフといった聖家族を、理想化された姿として描く伝統的な宗教絵画から逸脱し、労働者や庶民に置き換えて描いたため、ディケンズや批評家からは集中砲火を浴びたのだとか。今観ると温かな人間味に溢れた作品に思えますが、当時はそれがセンセーショナルだったんでしょうね。キリストは釘で手に傷を負っていて、キリストの磔刑をほのめかしているなど、キリスト教的な記号やメタファーが多く指摘されています。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「聖カタリナ」
1857年

中世の宗教画のようなフォード・マドックス・ブラウンの「ペテロの足を洗うキリスト」、ドラマ性を感じるウィリアム・ベル・スコットの「大洪水の前夜」あたりは好み。ロセッティも「聖カタリナ」「ナザレのマリア」「礼拝」と良作が揃っていますが、それほど技量が優れてるという感じはせず、まだ後期のような耽美的傾向もありません。


3. 風景 | Landscape

これもやはりルネサンスから続く古典的な風景画とは一線を画した、自然に忠実で、精細な風景画で、こうした近代的な風景画がフランスの印象派などとほぼ同時期(というより少し早く)に発生していたことは面白いところです。

ウィリアム・ダイス 「ペグウェル・ベイ、ケント州 -1858年10月5日の思い出」
1858-60年

個人的に惹かれたのはダイスの「ペグウェル・ベイ、ケント州 -1858年10月5日の思い出」で、前景と後景のバランスも良く、自然を正確に写し取ろうという気概が伝わってきます。それでいて人々の顔を異様に白くし、全体的な色のトーンをまとめていたり、上部に彗星を描いたり、いろいろ興味の尽きない作品でした。


4. 近代生活 | Modern Life

単に社会改革による生活の変化や風俗を描くということだけでなく、ラファエル前派の画家たちはそこに社会への鋭い批評性を持ち込もうとしたようです。そのあたりが若い画家集団の勢いというか生真面目さというかユニークさを感じます。

ウィリアム・ホルマン・ハント 「良心の目覚め」
1853-54年

メインで取り上げられているのがハントの「良心の目覚め」で、男に囲われていた女性が自分の生き方に罪深さを覚え立ち上がるという絵なのですが、絵がストレート過ぎて、なんかこっちが気恥ずかしくなります。絵の中には象徴的なモチーフも描かれていたりして、メッセージ性にこだわっているようです。

ロバート・ブレイスウェイト・マーティノウ 「我が家で過ごす最後の日々」
1862年

面白かったのはマーティノウの「我が家で過ごす最後の日々」。イギリスの典型的な“家族の肖像(Conversation Pieces)”というジャンルを踏襲したような絵で、それでいてラファエル前派らしく精細な描写で、古典的なモチーフを当世風にアレンジしたところが面白いなと思います。


5. 詩的な絵画 | Poetic Painting

ロセッティは1950年代半ばに展覧会への出品をやめ、自然主義的な作品からも離れ、ダンテの詩やアーサー王伝説などを題材にした中世風の作品制作に没頭するようになったといいます。ここではロセッティの作品のほか、ロセッティの妻シダルやバーン=ジョーンズらの作品を紹介しています。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「ベアトリーチェの死の幻影を見るダンテ」
1856年

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「ダンテの愛」
1860年

この頃のロセッティの作品はロマン主義的な色合いが濃く反映されていて、色彩や装飾性の点でも独特の傾向がはっきりと出てきているのが分かります。ロセッティの肖像画を見るとなかなかのイケメンで、実生活でもシダルという婚約者(後に結婚)がいながらも、後にモリスの妻となるジェーン・バーデンと関係を持ち、長年に渡って三角関係を続けたとか、どの絵が誰がモデルだとか、会場にはそうした情報も細かく解説されていました。(個人的にはそうしたゴシップには興味がないので省きますが)

シメオン・ソロモン 「ミティリニの庭園のサッフォーとエリンナ」
1864年

ソロモンの「ミティリニの庭園のサッフォーとエリンナ」は明らかに同性愛を示唆したような作品で、このあたりも退廃的な唯美主義や象徴主義美術の前触れを見ることができるようです。ちなみにソロモンは同性愛の罪で逮捕され、その後の画家人生を絶たれます。


6. 美 | Beauty

1860年代以降の作品を中心に展示。この頃になると、「芸術のための芸術」を目指す唯美主義的な傾向が顕著になり、色彩や形式の美を追求しようという新たな表現形式の時代に入っていることが分かります。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「最愛の人(花嫁)」
1865-66年

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「プロセルピナ」
1874年

ロセッティは1850年代末に油彩画に復帰したそうですが、その作品は初期ラファエル前派の頃のものとは大きく異なり、豊かな装飾性と濃厚な色彩、そして女性の官能美に溢れています。「最愛の人(花嫁)」は東洋風の衣装(日本の着物らしい)や黒人の少女といった異国趣味を前面に出していて、それがより一層女性の官能的な姿を強めています。「プロセルピナ」はローマ神話の女神で、冥界のザクロを食べてしまったため一年のうち半分は冥府にいなければならなくなったという神話を描いたもの。暗い画面に一際目立つザクロの赤さとうなじが何かエロティックな印象さえ与えます。

ほかにロセッティの代表作の一つという「ベアタ・ベアトリクス」も展示されています。ダンテの愛したベアトリクスにロセッティの早世した妻シダルを重ね合わせて描いたという作品で、シダルがアヘンの過剰摂取で亡くなったことと関連しているのか、鳥がケシの花を加えていたりします。


7. 象徴主義 | Symbolism

最後は象徴主義。ここではロセッティの唯美主義的な絵画を引き継いだバーン=ジョーンズの作品3点を展示。「「愛」に導かれる巡礼」は『薔薇物語』の一場面を描いた作品で、制作に20年をかけ、死の前年に完成させたのだそうです。旅の詩人が「愛」に導かれる図ということですが、天使の羽は黒いのですね。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「「愛」に導かれる巡礼」
1896-97年

ラファエル前派の画家の展覧会は時々あって、「オフィーリア」も何度も来日しているようですが、テート所蔵の優品をごっそり持ってきて、体系的に見せていく展覧会としては過去最大級とのこと。ラファエル前派にあまり親しんでなかった自分もとても面白いと感じる展覧会でした。人間相関図なども紹介されていて、ラファエル前派の背景もよく分かります。ラファエル前派のことをちゃんと知りたいという方にはもってこいなのではないでしょうか。三菱一号館美術館の『ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900』と併せて鑑賞されると、より楽しめると思います。


【テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢】
2014年4月6日(日)まで
森アーツセンターギャラリーにて


美術手帖3月号増刊 ラファエル前派 19世紀イギリスの美術革命美術手帖3月号増刊 ラファエル前派 19世紀イギリスの美術革命


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