2015/02/14

THE 琳派

畠山記念館で開催中の『THE 琳派 -極めつきの畠山コレクション-』を観てまいりました。

久しぶりに行ったので、間違えて白金高輪駅で降りてしまったり(正解は白金台駅、もしくは高輪台駅)、道に迷って大回りしてしまったり、散々でしたが、なんとか辿り着けました。

琳派400年ということで、琳派関連の展覧会が続いていますが、こちらは畠山記念館所蔵の琳派コレクションを展観。畠山記念館の開館50周年記念展の締めくくりでもあります。

畠山記念館といえば、茶道具など古美術品のコレクションで知られていますが、琳派の作品も充実。期間中展示替えなどがありますが、わたしが観に行った日(2/11)は書画が11点、工芸品が20点、出品されていました。


階段を上がって、左側の畳敷きの展示コーナーには抱一の「風神雷神図」や宗達の「騎牛老子図」、『源氏物語』や『伊勢物語』に材を取った尾形光琳の作品が並びます。

酒井抱一 「風神雷神図」
江戸時代・18~19世紀 (展示は2/12まで)

俵屋宗達 「騎牛老子図」
江戸時代・17世紀 (展示は2/12まで)

先日拝見した日本橋三越の『岡田美術館所蔵琳派名品展』でも抱一の「風神図」が出品されていましたが、抱一は代表作の「風神雷神図屏風」だけでなく、風神・雷神を描いた作品を複数残しているようですね。この「風神雷神図」は体の動きこそ違えど、「風神雷神図屏風」の色味や風貌と近いものがあり興味深く思いました。宗達の「騎牛老子図」は牛の黒と老子の白のコントラストが面白く、宗達の水墨の技量の高さにつくづく感心します。

本阿弥光悦 「赤楽茶碗 銘 雪峯」(重要文化財)
江戸時代・17世紀

工芸では光悦の赤楽「雪峯」にやはり目が留まります。大きく火割れした痕に金粉漆で繕ったもので、口縁から胴の白釉を山の白雪に見立て光悦が命銘したそうです。光悦では、宗達の下絵の上に光悦が謡曲のさわりの部分を書写した「小謡本」や、同じく古今和歌集の雑歌をしたためた「金銀泥四季草花下絵 古今集和歌巻」も素晴らしい。

ほかに尾形乾山の皿は鉢が充実。琳派ならではの美しい草花やかわいい文様など逸品が多くて、観ていて楽しくなります。

酒井抱一 「月波草花図」
江戸時代・18~19世紀 (展示は2/22まで)

奥の壁面には抱一の「月波草花図」。「野花蟷螂図」「波上名月図」「水草蜻蛉図」の三幅対で、背景の薄墨にところどころ濃淡があり、まるで夜の霞のよう。風や波の音、虫の声だけが聴こえてきそうな風情があります。三越で観た其一の「名月に秋草図」は恐らく本作を下敷きにしてるのでしょうね。

その其一は“らしさ”が光る「向日葵図」。抱一も向日葵を描いていたりしますが、其一の向日葵は真っ直ぐに伸び、大輪の花が正面を向いているという大胆さが異彩を放っています。葉はたらし込みで描かれていますが、その斬新な画面構成はどこか近代的な感覚を感じさせます。

鈴木其一 「向日葵図」
江戸時代・19世紀 (展示は2/22まで)

本展は作品数こそ多くありませんが、有数の古美術コレクションで知られる畠山記念館だけあり、質の高い作品が並び、満足度がありました。

ところで、むかし来たときにはまだ般若苑があったところに、いろいろとウワサになった白亜の大豪邸が建っていて、畠山記念館の庭園やまわりの景観を損ねる趣味の悪さに残念な思いがしました。


【開館50周年 THE 琳派 -極めつきの畠山コレクション-】
2015年3月15日(日)まで
畠山記念館にて


鈴木其一―琳派を超えた異才 (ToBi selection)鈴木其一―琳派を超えた異才 (ToBi selection)

0 件のコメント:

コメントを投稿