先日、東京国立博物館の本館に寄ったら、国芳の「化物忠臣蔵」の全段が展示されていたのでご紹介。
歌舞伎や浄瑠璃でおなじみの『仮名手本忠臣蔵』の各段から名場面を一枚ずつ描いたシリーズ。さすがに戯画の天才・国芳。思わず笑ってしまいます。2011年に森アーツセンターギャラリーで開催された『歌川国芳展』で一部は拝見しているのですが、全作品を観たのは初めて。トーハクでは2007年に2枚だけ展示しているようですが、それ以外はよく分からず。全てを展示するのはもしかして珍しいのかも。貴重な機会かもしれません。
初段(大序)。かほよ御前をつけまわす高師直の図でしょうか。師直にアカンベーをするかほよが笑えます。
二段目。師直から辱めを受けて腹の虫がおさまらない若狭之助の目の前で、家老の加古川本蔵が庭の松の枝を切ろうとする場面。逆に松の木に驚かされるという。
三段目。これは喧嘩場ですかね。師直を斬るつもりでいた若狭之助に鶴岡八幡宮のときの無礼を侘びる師直。松の廊下の朽ち果てぶりといったら。
四段目。判官切腹の段。カエルが刀を口から刺すという。手前の化物は駆けつけた由良助のようですね。家紋が大石内蔵助の二つ巴。
五段目。夜道で老人から金を奪った定九郎がイノシシに遭遇する場面か。勘平の鉄砲ではなく、イノシシの屁でやられるという可笑しさ。
六段目。勘平が与市兵衛の財布を持っていたことを与市兵衛の女房が問い詰める場面ですね。老婆のおっぱいが(笑)
七段目。かほよ御前からの書状を由良助が秘かに読むも、二階からはお軽が、縁の下からは九太夫が覗こうとしているという言わずと知れた名場面。祇園一力茶屋の場も国芳が描くとこうなるw 傑作ですね。
八段目。道行旅路の嫁入も楽しい国芳クオリティ!
九段目。山科閑居の段。壊れた三方があるところを見ると、本蔵と戸無瀬と小浪、壁から不気味な顔を覘かすのはお石か。
十段目。天河屋の段。暖簾が「化川屋」という凝り様。大星に送る武具を入れた長持の上にのった天河屋義平と捕り手たち。
十一段目は二枚。ご存じ討ち入りと高師直の首を討ち取る場面ですね。もうこれは忠臣蔵を知っている人ならだれでも分かるシーン。門を叩き壊す化物の頭が木槌になっていたり、骸骨がのこぎりをかまえていたり、楽しい。
国芳の「化物忠臣蔵」は東京博物館本館2階の10室(浮世絵のコーナー)で12/23(火)まで展示中です。
東京国立博物館
http://www.tnm.jp/
歌川国芳: 遊戯と反骨の奇才絵師 (傑作浮世絵コレクション)
ねこと国芳
0 件のコメント:
コメントを投稿