東京藝術大学美術館で開催中の『平櫛田中コレクション -つくる・みる・あつめる-』に行ってきました。
東京美術学校彫刻科木彫部(後に東京藝術大学美術学部彫刻科)の教授でもあった彫刻家・平櫛田中が東京藝術大学に寄贈した自作の彫刻27点を含む149点の彫刻コレクションの中から、厳選した20作品を公開した展覧会。
なんとこれが入場無料!
地下の展示室2(エレベーターを降りて左のホール)なので、スペース的には広くありませんし、展示作品も多くありませんが、橋本平八、佐藤朝山、小川破傘らの優品が揃った充実のコレクション。平櫛田中ってなかなかのコレクターでもあったんですね。
特に興味を引いたのが、チラシにもなっている橋本平八の「或る日の少女」。素朴な木彫りの愛らしい少女。意外と大きくて60cmぐらいあるのですが、一心に祈る姿に心打たれるものがあります。
橋本平八ではブロンズの「猫」や木彫りの「西王母」などが印象的。「猫」はいくつか制作しているようで、松涛美術館の『ねこ・猫・ネコ展』で拝見したブロンズとは別の作品のようです。石を牛に見立てた彫刻もユニーク。
平櫛田中の作品は9点。三井財閥の8代当主の「三井高福像」にはバックに尾形光琳と伝わる屏風をさりげなく置くとか、やることがスゴい。「良寛和尚」や「平安老母」など魂さえ感じるような迫真の巧さに唸ります。
六代目菊五郎の鏡獅子の裸像バージョンも出ていました。国立劇場のロビーに飾られている「鏡獅子」が完成したあとに六代目の依頼で制作したものなのだそうです。裸なのは六代目が九代目團十郎から「鏡獅子」を教わった時も、自身が弟子に教える時も裸になって教えているからだといいます。隈取りは田中の案なのだそうですが、六代目は嫌がったが平櫛が譲らなかったので、六代目が最後に折れたというエピソードが紹介されていました。
作品数は多くありませんが、日本の近代彫刻を代表する平櫛田中の審美眼で選び抜かれた作品だけあり、どれも逸品ばかり。オススメの展覧会です。
【平櫛田中コレクション -つくる・みる・あつめる-】
2014年10月19日まで
東京藝術大学美術館にて
日本彫刻の近代
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