NODA・MAPの舞台『南へ』を観てきました。
歌舞伎を観るようになってから、歌舞伎での野田秀樹というのは何度か経験しましたが、いわゆる本来のというか、演劇としての野田秀樹の芝居をナマで観たのは実に「夢の遊民社」以来。『小指の思い出』とか『野獣降臨』とか『半神』とか、懐かしい思い出です。
さて、今回の『南へ』は、昨年の『ザ・キャラクター』『表に出ろいっ!』に続き、“信じる”ことをテーマに掲げた三部作の最終章。妻夫木聡と蒼井優という人気俳優を主役にし、しかも2ヶ月公演という長丁場で、すごい力の入れようです。
前のニ作品を観ていませんから、三部作がどうのという話ができませんし、野田秀樹の芝居自体、約20年ぶりぐらいですから(汗)、たいそうなことを書けないのですが、久しぶりに観た野田秀樹の芝居は、“言葉遊び”が鳴りを潜めたようですが、スピード感と台詞量は相変わらず半端ないなと思いました。それにテーマの選び方も野田秀樹“らしい”というか、「この国の歴史は天皇を利用した天皇詐欺の歴史だ」とストレートに言ってしまう批判精神や歴史観の面白さ、納得感は、「野田秀樹の芝居を観て面白かった、満足した」ということと今もセットになっているなと感じました。
肝心の出演陣ですが、蒼井優の巧さが抜きん出ていて、野田秀樹の芝居と相性がいいのか、既に野田秀樹の色に染まっていて、ベテランの舞台俳優・女優と比べても全く遜色なく、素晴らしかったと思います。妻夫木聡は無難に野田秀樹の芝居をこなしていて、まずまず及第点。舞台の上でも爽やかな好青年という感じでした。ほかにも渡辺いっけい、高田聖子、銀粉蝶、藤木孝など、個性ある役者さんが揃ってましたが、その中でも観測員役のチョウソンハという役者さん、恥ずかしながら初めて名前を知りましたが、勢いがあって、とても印象に残りました。
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