では、順番に。
まずは、『マネとモダン・パリ』から。
こちらは、7月までやってるので、そう慌てて行くこともなかったのですが、たまたま近くに用事があったので、ついでに寄って来ました。
『マネとモダン・パリ』は、4月にオープンした「三菱一号館美術館」の開館記念展ということで、連日多くの来館者が詰めかけているという話は聞いていましたが、行った日も受付には行列ができてました。それでも10分も待たなかったと思います。
「街の歌い手」
マネは大好きな画家の一人。活躍した時代が19世紀中期~後期ということで、セザンヌやモネ、ドガ、そしたルノワールら印象派の画家と重なるのですが、マネは印象派の本流ではないし、どちらかというと印象派という時代の流れに合流するのではなく、独自の創作活動を貫き、またその印象派の画家たちにも影響を与えたという点で、とてもユニークな存在だと思います。
展覧会は、「第1章.スペイン趣味とレアリスム:1850-60年代」「第2章.親密さの中のマネ:家族と友人たち」「第3章.マネとパリ生活」の3つに構成されています。
「死せる闘牛士(死せる男)」
この“黒”の色味と質感が素晴らしい。
この“黒”の色味と質感が素晴らしい。
「ローラ・ド・ヴァランス」
当時のパリで流行したスペインの踊り子さん
当時のパリで流行したスペインの踊り子さん
「第1章」では、17世紀のスペインの画家ベラスケスらに影響を受けたスペイン風の作品にスポットを当てています。絵画が写実主義と自然主義といったレアリスムに向かう中で、何故マネはスペイン絵画へ回顧していったのか。実はそれがマネ的なレアリスムへのアプローチだった、ということが幾つものマネの絵画を通して語られています。
「第2章」では、ベルト・モリゾら、マネのモデルとなった近しい人々の絵が、「第3章」では、19世紀のパリの町に集う人々を描いた絵が、それぞれテーマに沿って集められ、展示されています。
「ラテュイユ親父の店」
「ビールジョッキを持つ女」
コーナーのところどころに、ドガなど同時代の画家の作品やオペラ座など19世紀パリを代表する建築物の貴重な設計図や写真、また当時のパリの写真などが展示されていて、マネの活躍した時代の背景というものが、さまざまな方向から分かるように工夫されていました。19世紀中頃というと、ちょうど日本は開国して、幕府は倒幕され、新たな政府が誕生し、遅ればせながら西洋の技術と文化を取り入れようとして、ものすごい勢いで時代が変貌を遂げていた時代。もうその頃は、ヨーロッパは政治的にも落ち着き、技術や文化は爛熟していたのだろうと思いきや、パリはインフラ整備で大改造をされていたり、普仏戦争でパリの街は荒れ放題になったり、実はパリも歴史の過渡期だったということを恥ずかしながら初めて知りました。そんな時代にマネのような画家が活躍したということを知るだけで、彼の絵の見方が変わるような気がします。
ドガ「ル・ペルティエ街のオペラ座の稽古場」
さて、オープニング展覧会に抜擢されたマネ。今回の展覧会はマネを主題にしつつ、その同時代のパリの街の成り立ちにもスポットを当てているのですが、その背景には丸の内地区を開発した三菱が、その象徴ともいえる歴史的建築物を再現したことで、パリと丸の内の相似を暗に匂わせ、自分たちの業績をアピールする狙いがあるようにも思います。
「エミール・ゾラ」
左側の屏風絵と壁にかかっている絵に注目!
左側の屏風絵と壁にかかっている絵に注目!
「オリンピア」
壁の絵の一つがコレ。マネの出世作にしてパリ画壇で論争を巻き起こした問題作。
(※ 本展覧会には出品されてません!)
壁の絵の一つがコレ。マネの出世作にしてパリ画壇で論争を巻き起こした問題作。
(※ 本展覧会には出品されてません!)
三菱一号館美術館は、1894年に建てられた3階建ての煉瓦造りの建物で、1968年に解体されたのですが、三菱商事ビルの再建築(丸の内パークビル)に 伴い、昔の装いで再現さえたというわけです。再建築する際には、一度壊したものを…的な批判的な話も漏れ聴こえましたが、丸の内パークビルと三菱一号館の間に庭園(?)を配したりして、いい風景になっていて、想像以上に街の中に溶け込んでいると思いました。
館内は、美術館というより、あくまでも昔の洋館なので、スペース的にも狭かったり、天井もそれほど高くなかったりしますが、古い洋館に飾られている絵を観るような趣があり、いつもの美術展とはまた違った楽しさがありました。この建物をうまく生かした展覧会を今後も期待したいと思います。
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」
【三菱一号館美術館 開館記念展(Ⅰ) マネとモダン・パリ】
三菱一号館美術館にて
2010年7月25日(日)まで










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